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米国とコンゴ、保健パートナーシップで合意、12億ドル規模

資金は主にHIV/AIDS、結核、マラリアといった感染症対策や、妊産婦・小児死亡率の改善、ポリオ撲滅、疫学監視体制の強化、保健人材の育成、緊急時対応能力の向上などに充てられる予定だ。
アフリカ中央部・コンゴ民主共和国、赤道州の医療機関(Getty Images)

米国とコンゴ民主共和国は26日、12億ドル規模の保健分野での協力枠組みで合意に達したと明らかにした。今回の合意は2026年から2031年までの5年間を対象とする戦略的保険パートナーシップで、感染症対策や母子保健の改善など幅広い分野で協力することを目的としている。

合意の内容は米国務省が最大9億ドルを拠出し、コンゴ側も自国の保健支出を3億ドル増やすことを約束するという共同出資型の枠組みになっている。資金は主にHIV/AIDS、結核、マラリアといった感染症対策や、妊産婦・小児死亡率の改善、ポリオ撲滅、疫学監視体制の強化、保健人材の育成、緊急時対応能力の向上などに充てられる予定だ。

今回の合意は米国がトランプ政権下で推進している「アメリカ第一主義」のグローバル保健戦略の一環と位置づけられている。同政権は国際開発庁(USAID)を通じた援助モデルを廃止し、各国と二国間で直接的な保健パートナーシップを結ぶ新たな枠組みを構築してきた。これまでにコンゴを含めアフリカ19カ国と同様の協力合意に達している。

しかし、この新たなアプローチには批判や懸念もある。米国の援助削減は途上国の保健システムに深刻な影響を与えてきたとの指摘があり、現地では医療体制が弱体化したとの声がある。またアフリカ疾病対策センター(Africa CDC)は、こうした協力合意の一部にウイルスデータや病原体情報の共有を条件とする条項が含まれていることに強い懸念を示している。複数の国で交渉が決裂した例もあり、たとえばジンバブエは敏感な健康データの提供を求められたとして協議を打ち切っている。今回のコンゴとの合意に同様の条項が含まれているかどうかは明らかになっていない。

コンゴ政府はこのパートナーシップについて、保健制度の強靭化や国民の医療へのアクセス向上につながる投資であり、国の保健主権を強化するものだとして歓迎の意を示している。米国務省も今回の協力が長期的な自立支援を促進するとの見解を示している。

背景には、アフリカ各地で感染症や母子死亡率などが依然として課題となっている現実がある。コンゴでも医療基盤が十分でなく、多くの市民が基本的な医療サービスを受けられない状況が続いている。このため、米国との資金協力を活用してインフラ整備や人材育成を進める狙いがあるとみられる。

ただし、この種の二国間保健協力は一部の国から批判を浴び、透明性やデータ保護、将来の医療技術へのアクセスなどが政策課題として浮上している。専門家はこうした懸念にどう対応するかが保健協力の成否を左右すると指摘している。

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