◎チャドは世界でもっとも貧しい国のひとつであり、1960年にフランスから独立して以来、多くの反乱と騒乱を経験してきた。
チャドの軍事政権は20日、首都ンジャメナで行われた抗議デモで約50人が死亡、数十人が負傷したと発表した。
現地メディアによると、一部の暴徒化した市民と治安部隊が衝突し、催涙ガスが使用されたという。
政府報道官は抗議デモが暴動に発展したと説明したが、詳細は明らかにしなかった。治安部隊が実弾を使用したかどうかも不明だ。
デモ隊は昨年4月に就任したデビ(Mahamat Idriss Deby)大統領代行を国家元首とする現在の体制が2年間延長されることに抗議した。
軍事政権を率いるデビ氏は20日までに民主的な選挙を行うと昨年約束していた。
しかし、軍指導部、反政府勢力、一部の野党政治家、市民団体、酋長など、全国の代表1400人以上が参加した「国民対話」でこの約束は覆された。
国民対話は18カ月後に民政復帰すると約束したデビ政権を信じた国際社会に恥をかかせた。
イドリス・デビ(Idriss Deby Itno)前大統領は昨年4月、反政府勢力「チャド変革友愛戦線(FACT)」との戦闘で戦死。これを受け、軍の最高司令官であったデビ氏は議会を解散し、軍事評議会を発足させ、大統領代行に就任した。
AFP通信はデモ参加者の話を引用し、「デビが就任してからろくなことがない」と報じている。「燃料不足、食料危機、飢餓、チャドはどうなってしまうのですか?」
チャドは世界でもっとも貧しい国のひとつであり、1960年にフランスから独立して以来、多くの反乱と騒乱を経験してきた。
国連によると、チャドで緊急の人道支援を必要としている人は人口のおよそ3分の1に達し、子供を含む推定550万人が飢えに苦しんでいるという。