◎マスラ首相は今月6日の大統領選に出馬し、現職のデビ大統領に敗れていた。
チャド共和国、荷物を運ぶ女性(Getty Images)

アフリカ中部・チャドのマスラ(Succès Masra)首相が22日、辞意を表明した。

マスラ氏はX(旧ツイッター)に声明を投稿。「私は本日、2024年5月6日の大統領選が終了し、結果が確定したことを受け、評議会に辞表を提出した」と書き込んだ。

マスラ氏は大統領選に出馬し、デビ(Mahamat Idriss Deby)大統領に敗れていた。

軍事政権に強く反対するマスラ氏は野党との良好な関係を築くため、今年1月に暫定首相に任命された。

それから2カ月後、マスラ氏は大統領選への出馬を表明。「民主主義を取り戻す」と公約に掲げ、全国で選挙戦を展開した。

チャドは世界で最も貧しい国のひとつであり、1960年にフランスから独立して以来、政治情勢が安定したことは一度もなく、選挙で国家元首を選出したのも初めてである。

選挙管理委員会は9日に最終結果を公表。デビ氏の得票率は61%、マスラ氏は18%にとどまった。

マスラ氏のこれに異議を唱えたものの、憲法評議会は先週、訴えを退け、デビ氏の勝利が確定した。

マスラ氏は17日の記者会見で憲法評議会の裁定を受け入れ、「これ以上の法的手段はない」と述べていた

イドリス・デビ(Idriss Deby Itno)前大統領は2021年4月、反政府勢力「チャド変革友愛戦線(FACT)」との戦闘で戦死。これを受け、軍の最高司令官であった息子のデビ氏が議会を解散し、軍事評議会を発足させ、大統領代行に就任した。

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