◎新政権は今月中に発足するものとみられる。
アフリカ中部・チャドの憲法評議会は16日、今月6日に行われた大統領選の結果に異議を唱えた野党候補の訴えを退け、デビ(Mahamat Idriss Deby)大統領の勝利が確定した。
現地メディアによると、マスラ(Succès Masra)首相はこの決定に不満を表明し、有権者に抗議デモを続けるよう求めたという。
選挙管理委員会は9日に最終結果を公表。デビ氏の得票率は61%、マスラ氏は18%にとどまった。
マスラ氏は選管が票を操作していると主張したが、それを裏付ける証拠は示していなかった。
イドリス・デビ(Idriss Deby Itno)前大統領は2021年4月、反政府勢力「チャド変革友愛戦線(FACT)」との戦闘で戦死。これを受け、軍の最高司令官であった息子のデビ氏が議会を解散し、軍事評議会を発足させ、大統領代行に就任した。
デビ氏は民政復帰を約束したものの、紆余曲折の末、移行期間を2年延長した。
チャドは世界で最も貧しい国のひとつであり、1960年にフランスから独立して以来、政治情勢が安定したことは一度もなく、選挙で国家元首を選出したのも初めてである。
マスラ氏は2022年10月にチャドを脱出。デビ政権は当時、移行期間の延長に抗議するデモを取り締まり、野党7党を活動停止処分にしていた。この抗議デモでは60人以上が死亡している。
新政権は今月中に発足するものとみられる。