◎ドイツ政府はこの決定に反対し、チャド当局と連絡を取り合っている。
チャド、首都ンジャメナの在ドイツ大使館(Markus Schreiber/AP通信)

チャドの軍事政権は8日、駐ドイツ大使に48時間以内に国外に退去するよう命じた。

軍政の報道官は公式ツイッターに、「この決定は大使の不愉快な態度と内政干渉に基づくものである」と述べている。

また報道官は大使に48時間以内に荷物をまとめてチャド領から離れるよう命じた。

ロイター通信によると、ゴードン(Gordon Kricke)大使は民政復帰の遅れや、2024年に予定されている大統領選に軍政を率いるデビ(Mahamat Idriss Deby)大統領が出馬できるようになったことを批判していたという。

ドイツ外務省はこの決定に関する声明を出していない。しかし、ロイターは関係者の話として、「ドイツ政府はこの決定に反対し、チャド当局と連絡を取り合っている」と報じた。

ゴードン氏は2021年7月にチャド大使に就任。これまでにニジェール、アンゴラ、フィリピンで外交官を務めてきた。

AFP通信は政府関係者の話として、「チャド政府はゴードン氏が内政に干渉し過ぎた、分断を煽る発言をしたと非難している」と報じた。

それによると、ゴードン氏はこれまでに何度か警告を受けていたという。

デビ氏は父親の故イドリス・デビ(Idriss Deby Itno)前大統領が反政府勢力「チャド変革友愛戦線(FACT)」との紛争で戦死した2021年4月に政権を掌握した。

軍の最高司令官であったデビ氏は父親の戦死後、議会を解散し、軍事評議会を発足させ、大統領代行に就任。野党はこの引き継ぎをクーデターと呼んだが、その後、デビ氏を総選挙まで暫定的に大統領とすることに合意した。

しかし、デビ氏は昨年、選挙を2024年10月まで延期し、現在の体制を最大24カ月間維持すると発表。民政復帰を求める野党はこれに強く反発し、全国で抗議デモを展開した。

地元の人権団体などによると、治安当局の取り締まりで死亡したデモ参加者は100人を超えたという。多くの外交官が当局の過剰な取り締まりを非難した。

ドイツ大使館はフランス、スペイン、オランダなどとともに、民政復帰の遅れに深刻な懸念を表明している。

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