◎フランスはチャドに約1000人の部隊を駐留させている。
アフリカ西部・チャド政府が国家の主権を再定義するため、旧宗主国であるフランスとの防衛協定を終了する。
チャド外務省の報道官は28日の声明で、この決定を「歴史的な転換点」と評した。
また報道官は防衛協定終了により、「チャドは国家の優先事項に沿った戦略的パートナーシップを再定義することができる」とした。
フランス政府はコメントを出していない。
チャドはこの地域でフランスが大規模な軍事的プレゼンスを維持していた同盟国のひとつであり、長年にわたりイスラム過激派と戦ってきた。
軍事政権が統治するマリ、ブルキナファソ、ニジェールはフランスとの関係を断ち、ロシアに接近。ロシアはサハラ砂漠以南の広大なサヘル全域に民間軍事会社ワグネルや正規軍の兵士を配置している。
チャドの人口は約1800万人。世界で最も貧しい国のひとつであり、1960年にフランスから独立して以来、政治情勢が安定したことは一度もない。
デビ(Mahamat Idriss Deby)大統領の父である故イドリス・デビ(Idriss Deby Itno)前大統領は2021年4月、反政府勢力「チャド変革友愛戦線(FACT)」との戦闘で戦死。これを受け、軍の最高司令官であったデビ氏が議会を解散し、軍事評議会を発足させ、大統領代行に就任した。
デビ氏は昨年、1年半の民政移行期間をさらに2年延長すると発表し、国中で抗議デモが起こった。
アナリストによると、デビ氏は以前からフランスに不信感を抱いており、今回の決定はロシア、トルコ、アラブ首長国連邦(UAE)をはじめとする他の国々に好機をもたらす可能性がある。
フランスはチャドに約1000人の部隊を駐留させている。チャド外務省はこの撤退について言及していない。