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チャド政府、スーダン難民の移転開始、国境付近に軍を展開


チャド当局によると、避難が始まったのは北東部の東エネディ州で、スーダン国境に近い地域から主に女性や子どもを中心とする約2300人のスーダン難民が内陸部へ移送された。
スーダンとチャドの国境付近にある難民キャンプ(ロイター通信)

チャド政府は23日、スーダンとの国境地帯で戦闘が激化していることを受け、スーダンからの難民の緊急避難を開始すると同時に陸軍を国境付近に展開し、安全確保の態勢を強化した。国境をめぐる緊張はこれまでにないレベルまで高まっており、民間人の安全と地域の安定が大きな課題となっている。

チャド当局によると、避難が始まったのは北東部の東エネディ州で、スーダン国境に近い地域から主に女性や子どもを中心とする約2300人のスーダン難民が内陸部へ移送された。移送は21日から段階的に行われ、23日には国境周辺の他の町でも実施が予定されている。政府の難民支援委員会の代表は、人道・難民省から「迅速な行動」の指示を受けたと語り、陸軍が「数日のうちに国境地帯の警備を固める」とした。

移送の背景には、スーダンで2023年4月に始まった内戦がある。軍事政権と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」の戦闘は激化の一途をたどり、国境を越えた攻撃やドローンによる攻撃がチャド側の集落・難民キャンプなどを標的にしてきた。先週にはスーダン側から発射されたドローン攻撃により、チャドで少なくとも17人が死亡し、多数の負傷者が出たと報じられている。

この攻撃を受けてチャド政府は国境東部を閉鎖し、軍の展開を命じた。国境を閉鎖したのは今月初で、これにより人や物資の往来は原則禁じられた。ただし、人道的な理由がある場合には例外的に通行が認められる可能性がある。戦闘は国境地域だけでなく、スーダン西部ダルフール地方など広範囲に影響を及ぼしており、流入する難民の数は増加の一途をたどっている。

国境付近では民兵や武装勢力による衝突も報告され、国境を越えた攻撃が続くことでチャド側でも民間人や兵士の死傷者が出ている。国境沿いの町やその周辺では、負傷した民間人が厳しい条件の下で治療を受ける様子が伝えられている。水や電力など基礎的なインフラが欠ける地域も多く、医療支援や食料支援の必要性が高まっている。

人道面では、チャドに流入したスーダン難民の数は数十万人に達し、ユニセフ(国連児童基金)など国際機関が支援の必要性を訴えている。多くの難民は避難所での生活が長期化し、医療、衛生、食料など基本的なサービスの不足が深刻化している。雨季が到来する前に安全な居住地への移転を進めることが急務となっている。

さらに地域情勢は不安定さを増し、周辺諸国による介入や支援の動きも複雑化している。最近、アラブ首長国連邦(UAE)の関与が一部で注目され、同国がRSFへの物資供給ネットワークを再編しているとの報道もある。チャド国内でもこれに対する懸念が広がり、紛争拡大を防ぐための国際的な調整が求められている。

チャド政府は移送と軍の展開を同時に進めることで、流入する難民の保護と自国の安全保障の確保を目指している。しかし、戦闘の火種が消えない限り、避難民の数はさらに増える見込みで、国境地域の安定と人道支援の強化は当面の最重要課題となる。情勢は依然として流動的で、国際社会の支援と外交的な解決策が求められている。

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