◎政府は先日の声明で、「故イドリス・デビ・イトノ大統領は反政府勢力のひとつ、チャドの変化とコンコードの最前線(FACT)との戦闘で負傷し、4月17日に死亡した」と述べたが、専門家は軍事クーデターで暗殺された可能性が高いと指摘している。
5月3日、チャドの暫定軍事評議会は新軍事政権の主要な閣僚ポストを発表し、反政府勢力との戦闘で射殺されたと信じられている故イドリス・デビ・イトノ大統領の意志を受け継ぐと誓約した。
故デビ大統領から権力を受け継いだ息子のマハマト・イドリス・デビ・イトノ軍司令官は先日、議会と政府を解散したうえで、暫定軍事評議会を設立した。
政府は先日の声明で、「故デビ大統領は反政府勢力のひとつ、チャドの変化とコンコードの最前線(FACT)との戦闘で負傷し、4月17日に死亡した」と述べたが、専門家は軍事クーデターで暗殺された可能性が高いと指摘している。故デビ大統領は4月初めの大統領選挙で勝利したばかりだった。
野党と軍事政権に反対する支持者たちはマハマト軍司令官の軍事クーデターを非難し、抗議活動を開始した。
現地メディアによると、治安部隊は先週、首都ンジャメナのデモに参加した抗議者を少なくとも6人射殺し、数百人を拘留したという。
マハマト暫定大統領兼議長は市内の抗議活動を弾圧する法務大臣を野党から選び、「和解と対話大臣」という新しいポストの創設を決めたという。専門家は、「軍はFACTを含む反政府勢力との争いを交渉で解決すると関係国にアピールしている」と述べた。
現地メディアによると、新国務大臣と和解と対話大臣は、どちらも故デビ大統領の死後に権力を握った暫定軍事評議会の支持者であり、マハマト暫定大統領の傀儡(かいらい)だという。
一方、最近の反政府デモを最前線で主導した野党連合の議員は閣僚に選ばれなかった。
先月の大統領選挙で2位につけた野党のアルベール・パイミ・パダッケ氏は新首相に就任すると伝えられている。
軍は、「デビ大統領は首都ンジャメナの北数百キロに位置する戦場で戦い、死亡した」と主張したが、事件に関与したと信じられているFACTは犯行声明を発表していない。
チャドは世界で最も腐敗した国のひとつであり、石油収入の大半は武器の購入に充てられ、インフラと市民の生活はほとんど改善されず、人口の約65%が貧困ライン以下の生活を送っている。