◎軍事政権と反政府勢力の代表団はアフリカ、米国、欧州、カタールの当局者と共に会談の開始を祝う式典に参加し、非公開協議に臨んだ。
2022年3月13日/カタール、首都ドーハの会議場、チャド政府の代表団(Getty Images/AFP通信/PAメディア)

3月13日、チャドの軍事評議会と反政府勢力の代表がカタールで和平協議を正式に開始した。

チャドのイドリス・デビ・イトノ大統領は昨年4月、反政府勢力のひとつである「チャドの変化とコンコードの最前線(FACT)」との戦闘で死亡した。その後、息子のマハマト・イドリス・デビ・イトノ将軍は議会を解散し、暫定軍事評議会を発足させた。

軍事政権と反政府勢力の代表団はアフリカ、米国、欧州、カタールの当局者と共に会談の開始を祝う式典に参加し、非公開協議に臨んだ。

協議にはマハマト将軍と激しく対立するFACTの代表も出席した。

チャドの野党勢力と反政府勢力はマハマト将軍の暫定大統領就任を違憲と非難している。チャドの憲法は大統領が何かしらの理由で職務を遂行できなくなった場合、国民議会の議長に権限の一部を移譲すると定めている。

マハマト将軍はこの1年半、国の安定と選挙に向けた国民対話を行ってきたが、反政府勢力との溝はほとんど埋まらなかった。今回の協議は和解を目指す最初の一歩と見なされている。

チャドのパダッケ暫定首相は13日の記者会見で、国民対話を継続し、強固な基盤の上に国家を再建するために信頼できる大統領選挙と議会選挙を実施すると約束した。

また、昨年秋に何百人もの反体制派や反政府勢力の有罪判決を取り消し、彼らの帰国を許可した軍事評議会の恩赦をあらためて称賛した。

故デビ大統領は30年にわたって独裁的な体制を維持したものの、反政府勢力の脅威に何度も直面し、最後は戦死した。反政府勢力は主に隣国リビアで戦闘員を募集し、現在は複数の外国人傭兵グループも戦闘に参加している。

リビアの外相は式典で、「国際規模の組織犯罪という共通の課題を克服し、国境を越えて活動する過激派テロ集団を排除するために、我々は努力を結集し相違点を捨てなければならない」と語った。

チャドはかつての植民地支配国であるフランスの同盟国と見なされている。フランスはサヘル地域のイスラム過激派組織と戦うためにチャドに軍事キャンプを設置している。

一方、中東カタールは近年、アフリカから中東に至る様々な紛争において際立った外交的役割を担い、アフガニスタンのタリバンと米国の仲介役も担当した。

またカタールは昨年、長年対立してきたケニアとソマリアの外交関係を再開させることにも成功した。

カタールのムライキ外相は記者団に対し、「カタールは和平協議を成功させるために全力を尽くすだろう」と語った。

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