中央アフリカ共和国大統領選、トゥアデラ氏の3選が争点
トゥアデラ氏は1960年の独立後の内戦や武装勢力の抗争が続く同国を安定させることを選挙戦の主要な訴えとし、ロシアの民間軍事会社ワグネルやルワンダ軍の支援で治安を改善したと強調している。
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中央アフリカ共和国で12月28日、大統領選挙と議会選挙が行われた。地元メディアは3期目を目指す現職のトゥアデラ(Faustin-Archange Touadéra)大統領が優勢と伝えている。
トゥアデラ氏は1960年の独立後の内戦や武装勢力の抗争が続く同国を安定させることを選挙戦の主要な訴えとし、ロシアの民間軍事会社ワグネルやルワンダ軍の支援で治安を改善したと強調している。
トゥアデラ氏は2016年に初当選、2020年に再選。2023年の国民投票で大統領の任期制限が撤廃されたことにより、3期目の立候補が可能となった。この憲法改正は批判を集め、野党は「終身大統領制度」と呼んでいる。
今回の選挙には6人の対抗馬がおり、うち2人が主要な候補と位置付けられている。2人は一時、外国籍保有を理由に出馬を阻止されそうになったが、最終的に候補資格が認められた。それでも野党勢力は政府による制度的操作や選挙の不透明さを批判し、公正な競争が行われているか疑問の声が上がっている。人権団体は反対派への圧力が「不均衡な競争環境」を生んでいると指摘した。
現地メディアによると、投票は大きな混乱なく進んだものの、一部地域では投票所の準備遅延や有権者名簿の欠落が報告された。また、主要野党連合が選挙を「不公平」としてボイコットするなど、政治的緊張は依然として高い。MINUSCA(国連中央アフリカ多次元統合安定化派遣団)や外国軍が治安維持を支援し、選挙中の暴力抑止に当たった。
トゥアデラ氏は長らくロシアの支援を受けており、治安強化の見返りに同国の豊富な鉱物資源、特に金やダイヤモンドをロシア側に提供してきた。この関係は国内外の注目を集め、選挙結果はロシアの地域的影響力にも影響を与えるとみられる。
一方、国内では選挙が停戦や平和進展への機会となるとの期待もあるが、武装勢力の解体には至っておらず、東部国境地域ではスーダンから流入する戦闘集団による不安定さも残っている。
今回の選挙では大統領選に加えて国会や地方選挙も同時に実施され、約240万人の有権者が登録している。暫定的な結果は来年1月5日ごろに発表され、過半数を獲得する候補がいない場合は2月15日に決選投票が予定されている。
分析筋は、トゥアデラ氏が国家機関への影響力や資金力を背景に優位に立っているとみており、予想通り再選となれば政権の継続とロシアとの関係強化が進む可能性が高いと指摘している。ただし、選挙への不満や異議申し立てが新たな緊張を生むとの警戒も出ている。
