暴徒が与党事務所に放火、選挙不正疑惑で緊張高まる カメルーン
憲法裁判所は10月26日までに公式結果を発表する見込みだ。
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アフリカ西部・カメルーンの与党・カメルーン人民民主運動(CPDM)は16日、大統領選に関連する抗議デモが激化し、「狂った暴徒」が党事務所の一つに火を放ったと非難した。
CPDMは声明で、西部にある党事務所が15日夜に放火されたと説明。「狂った野党支持者を捕まえ、法的措置を講じる」と述べた。
ソーシャルメディアで共有された動画には炎上する建物にビヤ(Paul Biya、92歳)大統領の写真を放り投げる集団の姿が映っていた。
カメルーンでは12日に大統領選が行われ、ビヤ氏の再選が焦点になっている。
ビヤ氏は世界最年長の大統領であり、1982年に前任者が辞任した際に権力を掌握。40年以上にわたり政権を維持してきた。
地元メディアはビヤ氏が8期目の当選を果たす可能性が極めて高いと報じている。
これに対し、野党のチロマ(Issa Tchiroma Bakary)候補が公式結果発表前に勝利を宣言。ビヤ氏に敗北を認めるよう要求した。
CPDMはチロマ氏が偽情報を拡散し、暴動を煽っているとして、捜査当局に逮捕するよう求めている。
憲法裁判所は10月26日までに公式結果を発表する見込みだ。
チロマ氏は15日、選挙管理委員会が票を操作している兆候がみられると主張。市民団体も投票中に「複数の不正行為」が確認されたと報告している。選管はコメントを出していない。
現地メディアによると、首都ヤウンデを含む複数の都市で抗議デモや暴動が発生。略奪や破壊行為も確認され、数十人が逮捕されたという。死傷者の情報はない。
カメルーンは最貧国のひとつであり、天然資源に恵まれているにもかかわらず、経済は低迷し、若者の失業が社会問題になっている。
主な輸出品は原油、コーヒー、カカオ、木材などだが、一次産品への依存が高く、価格変動の影響を受けやすい。また、農業がGDPの大きな割合を占めており、農民の多くが自給自足農業に従事しているため、生産性が低い。
さらに、政治家による汚職が常態化し、公共資金の流用や不透明な行政が経済成長の妨げとなっている。インフラの未整備や教育・医療の不足も国の発展を阻んでいる要因のひとつである。加えて、北部や英語圏地域では武装勢力との衝突が続いており、治安の悪化が投資を遠ざけている。
進行中の内戦も経済を疲弊させている。この内戦は主に英語圏とフランス語圏の対立に起因している。
カメルーンはもともとドイツの植民地だったが、第一次世界大戦後に英仏によって分割統治された。その後、1961年に英語圏とフランス語圏が統合して現在のカメルーン共和国が誕生した。
しかし、英語圏地域(北西州と南西州)は政治的・経済的に差別されてきたと感じており、不満が蓄積していた。
2016年、英語圏の弁護士や教師らが政府のフランス語中心政策に抗議したことをきっかけに、抗議運動が激化。翌年には一部の分離主義者が「アンバゾニア」と呼ばれる独立国家の樹立を宣言し、武装闘争へと発展した。
これに対して政府は軍を投入し、激しい衝突が続いている。内戦によって数千人が死亡し、数十万人が国内外に避難している。現在も停戦の兆しは見えておらず、人道的危機が深刻化している。
