カメルーン議会、副大統領ポストを設置する憲法改正案可決
今回の改正で新設される副大統領の役割は大統領が死亡、辞任、または職務不能となった場合に自動的に大統領職を引き継ぐことにある。
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カメルーン議会は4日、ビヤ(Paul Biya、93歳)大統領の下で「副大統領」ポストを再設置するための憲法改正案を圧倒的多数で承認した。上下両院による採決の結果、改正案は賛成200ー反対18(棄権4)で可決。ビヤ氏の与党勢力が数の力で押し切った。今回の憲法改正について、政権側はビヤ氏の長年にわたる統治体制を制度的に支える狙いがあると主張しているが、反対派はこれを権力集中の強化と捉え、民主主義の弱体化につながるとの批判を強めている。
今回の改正で新設される副大統領の役割は大統領が死亡、辞任、または職務不能となった場合に自動的に大統領職を引き継ぐことにある。副大統領は大統領が任命と解任を行い、その任期は現職大統領の7年任期の残り期間に限られる。また、仮に副大統領が大統領職を引き継いだ場合でも、憲法改正を行ったり次期選挙に立候補したりすることは禁じられている。これにより、突然の権力空白に対する安定性確保を政府は改正の主要な理由として挙げている。
ビヤ氏は1982年に大統領に就任し、石油・カカオ輸出国としての地位を背景に長期政権を維持している世界最年長の現職国家元首である。93歳という高齢であるにもかかわらず、依然として政治の中心にあり、健康状態についての公の議論は制限されている。こうした背景から、政権側は政治的空白を防ぐためにも明確な継承制度の整備が必要だと説明している。
しかし、改正案に対する反発は強い。野党は今回の改正によって国家統一や民主的ガバナンスを強化する機会を逸したと批判し、むしろ大統領と副大統領を共同で選出する制度を導入すべきだと主張した。また、カメルーンがかつてイギリス植民地とフランス植民地の連合から成った国であることを踏まえ、広範な支持を得られる選挙制度改革が必要だと訴えた。
さらに別の反対派勢力からは今回の動きを「立憲的クーデター」と呼ぶ声も出ている。ベテランの野党議員は副大統領職の創設を権力の掌握とみなし、政治体制の根本的な見直しを要求している。このような批判は国会が与党勢力によって長年支配されてきた政治状況とも無縁ではないとの指摘もある。
今回の憲法改正は2008年以来の大きな憲法修正となる。当時は大統領の任期制限が撤廃され、ビヤ氏の長期政権を可能にしたことで全国的な抗議デモが発生し、治安部隊による取り締まりが行われた。今回の副大統領ポスト再設置が国民の広範な合意を得られるか、議論や対立の行方に注目が集まっている。
今後、ビヤ氏は改正案に15日以内に署名する必要がある。副大統領は大統領官邸の直下に位置付けられる役職として制度化されるが、その実効性や将来の政治的影響については依然として意見が分かれている。カメルーン国内では長期統治と権力継承のあり方を巡る議論が今後も続く見込みである。
