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BYD、南アフリカで販路拡大、充電インフラ整備も大きく進展

BYDは2026年末までに達成を目指していた「約35店のディーラー網展開」を、時期を前倒しして「2026年第1四半期までに」達成する見込みだ。
中国の電気自動車(EV)大手BYDのセダン(Getty Images)

中国の電気自動車(EV)大手BYDが南アフリカでのEVおよびハイブリッド車市場の拡大を受け、販売網の拡充を加速している。

ロイター通信によると、BYDは2026年末までに達成を目指していた「約35店のディーラー網展開」を、時期を前倒しして「2026年第1四半期までに」達成する見込みだという。

さらに、26年末までにディーラー数を60〜70店に拡大する計画も明らかにした。

この動きは南ア国内で手ごろな価格帯のEVやハイブリッド車の投入が進み、充電インフラ整備も進展していることを背景としている。BYDは欧州や他国メーカーに先駆けて価格競争力のあるモデルを投入し、現地のEVに関心を持つ顧客層を取り込む戦略を描いている。

BYD南ア法人のマネージングディレクターは4日、新型プラグインハイブリッドSUV「Sealion 5」の発表イベントで、ディーラー拡大のペースについて「幸いにも当初予定より早く実現できそうだ」と語った。

さらに、エントリーモデルのEVハッチバック「Dolphin Surf」が最も売れており、次いでピックアップトラックの「Shark」が続いているという。

ディレクターは「来年には安心して60~70店を展開できる」と語った。

加えて、BYDは2026年末までに最大300基の急速充電ステーションを南ア国内に設置する計画を発表している。これはディーラー拡充と並行したインフラ整備であり、EVの普及を支える重要な要素となる見込みだ。

同社がこのような積極展開を行う背景には、南ア政府がEV普及に向けた優遇策を示唆していること、現地消費者の環境意識の高まり、そして競合他社との競争がある。BYDはコスト競争力を活かし、既存の欧州勢や他の中国企業と販売競争を繰り広げてきた。

一方で、南ア市場における新エネルギー車(NEV)の比率はまだ限定的であり、今後の普及には充電インフラの整備、モデルの多様化、価格競争力だけでなく、消費者の受け入れや制度面の整備が重要となる。

BYDの拡張が成功すれば、南アにおけるEVの受容を左右する存在となる可能性が高い。

なお、BYDは2023年に南ア市場への参入を開始し、「ATTO3」の投入から始め、現在は複数のEV/ハイブリッドモデルを展開している。ディーラーの基盤は整えつつあり、今回の大規模な拡大計画は「市場先取」の意味合いが強い。

今後はディーラー拡充と充電インフラ整備がどこまで進むか、そして南ア国内でEV需要がどの程度成長するかが焦点となる。BYDの攻勢は、同国の自動車市場や電動車普及の流れに対して大きな影響を与える可能性がある。

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