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コンゴ東部紛争激化、数万人がブルンジに流入、国連が警鐘

ブルンジは世界で最も貧しい国の一つであり、限られた資源で多数の避難民を受け入れるのに苦慮している。
2022年11月16日/コンゴ民主共和国、東部の北キブ州郊外、州都ゴマに避難する人々(Getty Images)

国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は19日、ブルンジがコンゴ民主共和国東部で激化する暴力から逃れてきた難民の急増に対処できず、深刻な人道的危機に直面していると警告した。

ブルンジは世界で最も貧しい国の一つであり、限られた資源で多数の避難民を受け入れるのに苦慮している。

国連によると、12月初旬以降、コンゴ東部の南キブ州周辺での戦闘激化を受け、8万4000人以上の市民がブルンジへ逃れたという。これにより、同国国内の難民・庇護希望者数は20万人を超え、既存の受け入れ能力を大幅に超過しているという。多くは子どもや女性で、極度の疲労やトラウマを抱えて到着しており、緊急の支援が必要とされている。

UNHCRのブルンジ代表は記者会見で、「避難民が毎日タンガニーカ湖を渡ってボートなどでブルンジ側に到着している」と述べ、一部の船が劣悪な状態であったため転覆し死亡者が出た例もあると報告した。

避難民キャンプでは食料や飲料水、衛生設備が極端に不足し、長い列ができる状況で、コレラなどの感染症のリスクが高まっている。現地では飲料水やトイレが十分でなく、難民が過酷な環境に置かれているとの声も上がっている。

ブルンジ政府は難民受け入れのために新たなキャンプサイトを指定し、約2万1000人がそこへ移送されたが、施設はまだ十分なサービスを提供できる状態にはない。UNHCRは避難民と受け入れコミュニティの保護・支援のために3500万ドル(約55億円)の国際支援を呼びかけているが、今年は国際的な人道支援資金が大幅に削減されているため、必要な支援が速やかに届くかは不透明である。

避難してきた人々の多くは激しい戦闘を逃れてきたと語っており、ある50歳の母親は逃避行の最中に子どもと離れ離れになったと述べたほか、別の避難民は資源不足と衛生状況の悪さを訴えている。UNHCRは現地の医療支援や食料供給の強化、衛生設備の改善を急いでいるが、ブルンジ国内の受け入れ体制はすでに限界に達しているとの見方を示している。

こうした難民の急増はコンゴ東部での紛争と密接に関連している。南キブ州では反政府勢力や武装集団による衝突が続き、地域住民が命を守るために国境を越えて逃れている状況だ。国際赤十字(ICRC)などによると、コンゴ国内でも多数の家族が避難を余儀なくされ、数十万人が国内外で安全な場所を求めている。

ユニセフ(国連児童基金)も子どもの保護の重要性を訴え、暴力から避難する子どもたちがさらなる危険や分断にさらされていると警告している。その多くが家族と離れ離れになったり、暴力や搾取のリスクに直面しており、迅速な支援が必要だとしている。

国連はブルンジだけでなく地域全体がこの人道危機に対処するための支援を必要としていると強調し、国際社会に対して即時的かつ大規模な支援の拡大を求めている。平和的解決と安全な帰還が実現しない限り、難民問題はさらに深刻化する可能性があるとしている。

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