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ブルキナファソ、死刑制度復活へ、軍政が刑法改正案採択

軍評議会は4日、刑法改正案を採択。対象犯罪として「反逆」「テロ行為」「スパイ活動(諜報)」などを挙げ、これらの犯罪に関して死刑の適用を可能とする条項を復活させる内容となっている。
ブルキナファソ、首都ワガドゥグ、軍事政権を率いるトラオレ大尉(Getty Images)

アフリカ西部・ブルキナファソの軍事政権が死刑制度を再導入する方針を決定した。現地メディアが5日に報じた。

それによると、軍評議会は4日、刑法改正案を採択。対象犯罪として「反逆」「テロ行為」「スパイ活動(諜報)」などを挙げ、これらの犯罪に関して死刑の適用を可能とする条項を復活させる内容となっている。

この決定について、軍当局は「この法案の採択は、国民の深い願いに応える司法を実現するための改革の一環だ」とフェイスブックを通じて説明した。

同国では2018年に死刑を刑法から削除、事実上の廃止を確定させていた。なお、ブルキナファソで最後に死刑が執行されたのは1988年である。

今回の刑法改正案は今後、暫定議会による審議および裁判所の審査を経て成立となる見通し。軍政はこの再導入によって国家の安全保障と秩序維持を強化できると主張するが、国内外では大きな批判も上がっている。

国際的な人権団体であるアムネスティ・インターナショナルは声明で、「死刑は極めて残酷で非人道的、不可逆的な刑罰であり、いかなる場合でも認められるべきではない」と強く批判。再導入は人権状況の重大な後退を意味すると警告した。

また、今回の改正案には死刑再導入だけでなく、罰則の大幅な強化も含まれており、罰金の大幅引き上げ、経済犯罪(汚職や横領など)に対する刑の厳罰化も予定されている。

ブルキナファソはサヘル地域における過激派の台頭による治安の悪化、政情不安、メディア・表現の自由の抑圧など、近年複数の問題を抱えており、こうした背景が今回の法改正の動機になったとみられる。

今後、改正案が正式に成立すれば、ブルキナファソは数年ぶりに死刑制度を復活させる国となる可能性が高い。ただし、国際社会からの批判や国内での人権・法の支配をめぐる論争はさらに激化する見込みだ。

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