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ブルキナファソ軍政トップ「国民は民主主義を忘れるべき」


ブルキナはトラオレ氏が権力を握る以前、2020総選挙後に15政党が国会に議席を持ち、100を超える政党が登録されていた。
ブルキナファソの大統領に就任したトラオレ大尉(Getty Images/AFP通信)

ブルキナファソの軍事政権を率いる暫定大統領のトラオレ(Ibrahim Traore)大尉は3日、国営テレビのインタビューで「国民は民主主義を忘れるべきだ」と述べ、同国における民主的統治の可能性を事実上否定した。この発言は2022年9月のクーデターで政権を掌握したトラオレ氏が当初約束していた民主的移行を放棄し、軍事支配の長期化を示唆するものとして国内外の注目を集めている。

トラオレ氏はインタビューの中で「人々は民主主義の問題を忘れなければならない」「民主主義は私たちには合わない」と強調した。また、リビアを例に挙げて「民主主義の押し付けは血を伴う」と述べ、西洋による民主制度の普及が混乱や暴力を生んできたと主張した。

ブルキナはトラオレ氏が権力を握る以前、2020総選挙後に15政党が国会に議席を持ち、100を超える政党が登録されていた。しかしクーデター後、軍政は政治活動を停止させ、2026年1月にすべての政党を粉砕した。この動きは政治的多元主義を根本から否定するものであり、民主主義的な政治プロセスを事実上停止させるものとなっている。

軍政は2024年7月までの民主的統治復帰を約束していたが、2024年初めに移行期間を5年間延長する方針を発表し、選挙を先送りした。これによりトラオレ氏が権力を維持する期間は少なくとも2029年まで延びることとなった。

軍政側は政治党派が国を分断させてきたとして、政党解散を「国家再建」の一環であると説明しているが、国内では反対意見の封殺や市民社会の萎縮が進んでいるとの批判が強い。また国連は政党禁止措置の撤回や市民的空間の抑圧停止を求めている。

ブルキナは近年、イスラム過激派組織による武装勢力の攻撃にさらされ、隣国のマリやニジェール(共に軍政統治)と共にサヘル地域での治安悪化が続いている。軍政は選挙を安全保障の条件に結び付け、治安が安定するまで民主的プロセスを進めない姿勢を示しているが、治安状況は依然として厳しい。

トラオレ氏は民主主義の放棄を明言する一方で、政党は「分裂を招く」との認識を示し、独自の政治アプローチによる国家再構築を目指すと述べた。しかし、具体的な制度設計や政治的代替案は明らかにしていない。

トラオレ政権に対する評価は分かれている。支持者は外部勢力の干渉を排し、伝統的価値や国家主権を重視する姿勢を評価する一方で、国際人権団体や民主主義を重視する勢力は、政党禁止や反対意見の弾圧を強く批判している。特に国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)は軍とその同盟勢力がイスラム過激派よりも多くの民間人を殺害しているとの報告を発表し、懸念を強めている。

ブルキナの例はサヘル地域における軍事支配と民主的統治の再考を象徴している。安全保障と統治のバランスをめぐる議論は続いており、国際社会は民主主義の基本原則と地域の複雑な現実との調整を求められている。

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