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ブルキナファソ軍政、HRWの報告を否定、民間人1800人以上殺害か


問題となっているのは国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)が週末に公表したレポートである。
ブルキナファソ、軍事政権を率いるトラオレ大尉(Getty Images)

アフリカ西部・ブルキナファソで軍事政権による民間人殺害をめぐる報告を軍当局が強く否定する事態となっている。人権団体の報告と政府見解が真っ向から対立し、治安悪化が続く同国の現状が改めて浮き彫りになった。

問題となっているのは国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)が週末に公表したレポートである。報告は2022年に軍事クーデターで実権を握ったトラオレ軍政下で、1800人以上の民間人が殺害され、これらの行為が「人道に対する罪」に該当する可能性があると指摘した。調査は映像や衛星画像、証言などの公開情報をもとに行われ、加害の大半は軍や親政府民兵によるものとされ、残りはイスラム過激派によるものと分析されている。

報告の中では、特に2023年12月に北部地域で発生した事件が深刻な事例として挙げられている。この事件では軍と民兵が400人以上の民間人を殺害したとみられ、生存者は「大虐殺」「地獄」と証言し、深刻な精神的被害を受けたとされる。

これに対し、軍政の報道官はこの報告内容を全面的に否定した。政府は声明で、HRWの主張を「憶測に基づく根拠のないデマ」と批判し、事実ではないと強調した。こうした国際機関からの人権侵害の指摘に対し、軍政が反発する構図は今回が初めてではない。

ブルキナファソでは近年、イスラム過激派による武装蜂起が激化しており、治安が著しく悪化している。こうした中で軍が政権を掌握したものの、暴力の連鎖は止まっていない。軍や民兵による強硬な掃討作戦が、逆に民間人への被害を拡大させているとの指摘も出ている。

西アフリカでは近年、軍事クーデターが相次いでいる。ブルキナはマリやニジェール、ギニアやガボンなどと並び、民主的統治の後退が懸念されている国のひとつだ。軍政は治安回復を掲げているものの、実際には武力衝突と人権問題が深刻化しているとの見方が強い。

今回の報告と軍の否定は情報の信頼性や責任の所在をめぐる対立を象徴している。国際社会は独立した調査の必要性を指摘しているが、主権や安全保障を理由に軍性が外部の介入を拒む可能性もあり、事態の解明は容易ではない。民間人の安全確保と説明責任が問われる中、ブルキナ情勢は今後も注視が必要である。

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