ボツワナ2025年GDPマイナス0.9%見通し、ダイヤモンド部門の不振続く
ダイヤモンド産業はボツワナ経済の基幹であり、国の歳入の約3分の1、外貨収入の約4分の3を占める。
.jpg)
ボツワナ政府は19日、2025年の経済成長率がマイナス0.9%となり、景気後退に陥る見通しであると発表した。これは今年2月に示した3.3%の成長予想から大きく下方修正されたもので、過去数年にわたりダイヤモンド部門の不振が続いていることが主因となっている。
ダイヤモンド産業はボツワナ経済の基幹であり、国の歳入の約3分の1、外貨収入の約4分の3を占める。ところが、世界的なダイヤモンド需要の低迷が長引き、価格下落や取引減少が続いているため、輸出および生産が縮小している。これにより2024年の実質GDPは3%縮小し、2025年も回復が見込めない状況となっている。
財務省は19日に公表した報告書の中で、「2025年のマクロ経済見通しは依然として脆弱であり、ダイヤモンド部門の継続的な弱さが経済縮小の主要因となっている」と指摘した。加えて、財政の不均衡が続いていることから借入が増加し、債務残高が構造的に高まるリスクが顕在化していると述べた。
政府は支出抑制のため緊縮策を実施しており、公務員の残業手当の制限や国内外の公務出張の停止などが含まれている。さらに、26年度予算案では成長創出が期待される分野へ資源を振り向けるための追加的な緊縮措置を講じる方針を示している。
ダイヤモンド部門の低迷には複数の要因がある。世界市場で合成ダイヤモンドの人気が高まっているほか、中国など主な消費国からの需要が弱い。また、主要採掘企業デブスワナ(Debswana)でも在庫が積み上がり、生産調整を余儀なくされていると伝えられている。これらが輸出収益の減少、政府収入の圧迫につながっている。
国際通貨基金(IMF)の調査でも、2025年のボツワナ経済活動はダイヤモンド生産の減少により約1%の縮小が予想され、2026年には緩やかな回復が見込まれるとされた。IMFは財政再建や経済多角化のための改革推進を勧告しており、政府には支出の合理化や民間部門主導の成長を促す施策が求められている。
ボツワナは長年にわたりアフリカで最も安定した国の一つと見なされてきたが、資源依存型経済の脆弱性が露呈している。ダイヤモンド価格と需要の回復が不透明な中、政府は観光や農業、サービス業など他セクターの成長を促進することで経済基盤の強化を図る必要に迫られている。
今回の下方修正は同国が経済構造の転換期に直面していることを示すものであり、長期的な持続可能な成長戦略の策定が急務とされている。政府と民間の双方が多角化の取り組みを加速させることで、今後の経済回復につなげることが求められる。
