SHARE:

ベナン・クーデター未遂、首謀者の捜索続く、混乱収束

クーデターの試みは結局、失敗に終わり、軍が反乱兵を鎮圧。隣国ナイジェリアの空軍・地上部隊による支援もあり、逃走を図った反乱兵に対して攻撃が行われた。
2025年12月8日/アフリカ西部・ベナン、首都ポルトノボの通り(AP通信)

アフリカ西部・ベナンで7日未明に発生した軍事クーデター未遂について、当局による捜査が続いているようだ。現地メディアが8日に報じた。

少数の兵士たちは7日未明、国営テレビスタジオに突然現れ、政府解体と国家機関の停止を宣言。彼らは自らを「再建のための軍事委員会(CMR)」と名乗り、タロン(Patrice Talon)大統領とすべての国家機関を解任、暫定政権を樹立したと主張した。

このリーダー(陸軍少佐)とされる人物は以前、タロン氏の警護部隊に所属し、砲兵将校として国家警備隊の大隊を2023~25年まで率いていたという。

だが、クーデターの試みは結局、失敗に終わり、軍が反乱兵を鎮圧。隣国ナイジェリアの空軍・地上部隊による支援もあり、逃走を図った反乱兵に対して攻撃が行われた。少なくとも十数人の兵士が拘束されたものの、他の兵は逃亡を続けており、少佐の行方は依然として不明のままだ。

また、テレビ局襲撃の際に拘束されたとみられる「人質」の身柄および安否についても、政府側は「安全を保障する」としながらも、人数や氏名、負傷・死亡の有無については明らかにしていない。

この事態を受けて、タロン氏はクーデターを断罪し、関与した反乱兵への処罰を約束。混乱は収束し、最大コトヌーでは厳戒態勢が敷かれているが、軍隊が市内に展開し治安を維持する状況が続いている。

国際的にも反応があった。ECOWAS(西アフリカ諸国経済共同体)は事態を非難し、即座に待機部隊の派遣を決定。ナイジェリア、ガーナ、コートジボワール、シエラレオネなど複数国が要員を派遣するという。 国際社会もまた、今回の一件が地域全体の安定を脅かす可能性を指摘し、声明を発している。

ベナンは1960年のフランスからの独立以来、たびたびクーデターに見舞われてきたが、近年は比較的安定した民主主義体制を維持してきた。西アフリカでは近年、複数の国で軍事クーデターが相次ぎ、今回の未遂はその流れの一端とされる。

今回の事件は来年4月に予定されている大統領選挙を控えたタイミングで起きた。タロン氏は任期を終えて退く予定で、新たな指導者が選出される見込みだ。このクーデター未遂は選挙前の政治的緊張と国内の治安・統治体制に対する国民の不安を改めて浮き彫りにした。

今回、クーデターは迅速に抑えられたものの、先導した少佐の行方、人質の安否、国際的な警戒のなかで展開される地域の政治・安全保障の先行きなど、多くの課題と不透明さを残した。今後、国内および地域の動きが注視される。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします