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ベナンでクーデター未遂、兵士13人拘束=報道

内務省は声明で、「クーデターの試みは阻止された」と短い声明を出し、「共和国への誓いに忠実な部隊がクーデターを阻止した」と述べた。
アフリカ西部・ベナン、首都ポルトノボ(AP通信)

アフリカ西部・ベナンで7日未明、政府転覆を狙ったクーデターが発生、失敗に終わった。政府高官が明らかにした。

この日、少数の兵士が国営テレビスタジオに突然現れ、政府解体と国家機関の停止を宣言。彼らは自らを「再建のための軍事委員会(CMR)」と名乗り、タロン(Patrice Talon)大統領とすべての国家機関を解任、暫定政権を樹立したと主張した。

またCMRは陸軍中佐が暫定大統領に就任したと一方的に宣言した。

だが、その直後に事態は収束に向かった。地元メディアによると、軍指導部が政府への支持を表明し、クーデター勢力の鎮圧に動いた。

内務省は声明で、「クーデターの試みは阻止された」と短い声明を出し、「共和国への誓いに忠実な部隊がクーデターを阻止した」と述べた。

この制圧で13人の兵士が拘束されたとの報告がある。クーデターが宣言された直後には最大都市コトヌー周辺で銃声が報告され、一部地域で兵士のパトロールの目撃もあった。とはいえ、都市全体が混乱に陥ったわけではなく、午後には秩序が回復したという。

このクーデター未遂は近年西アフリカで相次ぐ軍事介入・政変の流れの中で起きたものであり、同地域で民主主義と軍事の攻防が続いている現状を改めて浮き彫りにした。

一方、国際的な地域機構であるECOWAS(西アフリカ諸国経済共同体)およびアフリカ連合(AU)は今回のクーデター未遂を強く非難し、憲法秩序の尊重と領土保全のためベナン政府を支持する姿勢を明言した。

ベナンは1960年に旧宗主国から独立して以降、特に独立直後の数十年にわたって複数回のクーデターを経験してきたが、1991年以降は比較的安定した民主主義下にあった。タロン氏は2016年から大統領職を務めており、10年の任期を経て退任する予定である。今回の未遂がこうした政治情勢の節目に起きた点も無視できない。

今回のクーデター未遂は最終的に失敗に終わったものの、ベナンだけでなく西アフリカ全体で繰り返される政治不安と政権の脆弱性を改めて示す警鐘となった。今後、政府側・軍側双方の動き、および2026大統領選をにらんだ政治動向が注視される。

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