◎チャドの人口は約1800万人。世界で最も貧しい国のひとつであり、1960年にフランスから独立して以来、政治情勢が安定したことは一度もない。
アフリカ西部・チャドの軍事基地が攻撃を受け、少なくとも40人の兵士が死亡した。大統領府が28日、明らかにした。
それによると、現場は同国西部の砂漠地帯にある基地。正体不明の武装集団が27日深夜に襲撃し、銃撃戦になったという。
デビ(Mahamat Idriss Deby)大統領は28日早朝にこの基地を視察。当局者に武装集団を追跡するよう命じた。
現地メディアによると、犯行声明を出した組織は確認されていない。
チャド西部のナイジェリアとの国境に近い地域では西アフリカ最大のイスラム過激派組織ボコ・ハラムによるテロ攻撃が相次いでいる。
ボコ・ハラムとナイジェリア政府は戦争状態にあり、15年以上にわたる戦いにより数万人が死亡、200万人以上が住居を失ったと推定されている。
チャド西部では今年3月、ボコ・ハラムとみられる武装集団の攻撃で陸軍兵士7人が死亡した。
チャド軍は2020年のボコ・ハラム掃討作戦で同組織の拠点を全て破壊したとしているが、それ以降もテロ攻撃は続いている。
ボコ・ハラムはナイジェリア北東部を含むこの地域でのイスラム国家建設を目指している。この反乱はカメルーン、ニジェール、チャドを含む西アフリカの近隣諸国にも広がっている。
チャドの人口は約1800万人。世界で最も貧しい国のひとつであり、1960年にフランスから独立して以来、政治情勢が安定したことは一度もない。
デビ氏の父である故イドリス・デビ(Idriss Deby Itno)前大統領は2021年4月、反政府勢力「チャド変革友愛戦線(FACT)」との戦闘で戦死。これを受け、軍の最高司令官であったデビ氏が議会を解散し、軍事評議会を発足させ、大統領代行に就任した。
デビ氏は今年5月に行われた同国初の大統領選で野党候補を破った。