アルジェリアで食料品価格の高騰続く、ラマダン明けの祝いにも影響
首都アルジェの中央市場では果物や野菜の売り場が賑わいを見せる一方で、ラマダンの到来とともに価格が急上昇している。
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アルジェリアではイスラム教の聖月であるラマダン(断食月)を迎えるにあたり、多くの国民が伝統的な断食明けの祝いの食卓を用意することが困難になっている。これは食料品価格の高騰と購買力の低下が原因で、石油・ガス資源に恵まれる国でありながら、多くの家庭が生活費の捻出に苦しんでいるためだ。
首都アルジェの中央市場では果物や野菜の売り場が賑わいを見せる一方で、ラマダンの到来とともに価格が急上昇している。玉ねぎは2日間でキロ当たり45ディナールから100ディナール(約120円)に跳ね上がり、ニンジンが150ディナール、ピーマン200ディナール、インゲン豆550ディナールといった高値が付く。多くの買い物客が値段を見て買い控えを余儀なくされ、空の買い物かごを手に帰路につく姿も目立つ。
この価格上昇は、全国的な抗議デモが続いた2019年の出来事以降、政府が社会不安の拡大を恐れて経済支援を約束したにもかかわらず、状況が改善されないことを浮き彫りにしている。国民の中には「1970年代は収入が少なくても、ラマダン用の良い肉や果物、野菜を揃えることができた」と語る高齢者もおり、かつての生活との落差を嘆く声が聞かれる。
政府は価格の「投機的な」高騰を食い止めるために取り締まりを強化しているものの、効果は限定的だ。ラマダンの食料供給を議論した閣議でテブン(Abdelmadjid Tebboune)大統領は、「すべての条件を整え、市民が平安にラマダンを過ごせるようにする」と表明し、肉の価格を抑えるために14万4000頭の羊と4万6000頭の牛の輸入を進める方針を示した。
それでも、地元で人気のある高地産のマトンやカビル山地の若牛など、伝統的な食材は中所得層でも手が出にくい価格になっている。価格高騰は単なる季節的な現象にとどまらず、国全体の購買力の低下を反映しているとの指摘がある。
こうした状況を受け、民間の支援活動も活発化している。レストラン経営者が自らの店舗を「慈悲のレストラン」として開放し、断食明けに無料で食事を提供する動きが広がっている。アルジェリア赤新月社が運営する炊き出しでは1日最大800食が提供され、家族連れも列をなす光景が見られる。かつてはホームレスや旅行者が利用する程度だったこれらの炊き出しには、今や全世帯が頼らざるを得ない状況となっている。
テブン氏自身も経済状況の深刻さを認め、「かつては誇りだった中産階級が危機によって崩壊しつつある」と述べ、最低賃金や年金、失業給付の引き上げを打ち出している。しかし専門家は、これらの対策は社会的安定を維持するためのものであり、貧困拡大という根本的な問題の解決には至っていないと指摘する。
こうした中で迎えたラマダンは宗教的には重要な時期であるが、多くのアルジェリア人にとっては物価高との闘いの象徴ともなっている。価格上昇と生活費の圧迫は、国内の社会・経済情勢の不透明さを改めて浮かび上がらせている。
