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アルジェリア大統領、新首相とエネルギー相を任命、内閣改造

アルジェリアは北アフリカに位置する大国で、地中海に面し、南部は広大なサハラ砂漠に広がっている。
アフリカ北西部・アルジェリアのテブン大統領(Getty Images)

アフリカ北西部・アルジェリアのテブン(Abdelmadjid Tebboune)大統領が14日、内閣改造に伴い、新首相とエネルギー相を任命した。大統領府が明らかにした。

それによると、テブン氏はグリブ(Sifi Ghrieb)氏を首相に、アジャル(Mourad Adjal)氏をエネルギー・再生可能エネルギー相に任命したという。

グリブ氏はテブン内閣で産業相と務め、先月以来、暫定首相を務めていた。

アジャル氏は国営電力会社ソネルガズ(Sonelgaz)の最高経営責任者(CEO)を務めていた。

大統領府によると、財務相、通商相、外相は留任した。

アルジェリアは北アフリカに位置する大国で、地中海に面し、南部は広大なサハラ砂漠に広がっている。国土面積は約238万平方キロメートルに達し、アフリカ大陸で最大規模を誇る。首都はアルジェで、地中海沿岸に位置する政治・経済・文化の中心都市である。人口は約4500万人とされ、民族的にはアラブ系とベルベル系が主要な構成を占め、言語は公用語としてアラビア語とベルベル語が定められている。フランスの植民地支配の影響も強く、フランス語はビジネスや教育の場面で広く使用されている。宗教はイスラム教が圧倒的多数を占め、社会や政治、文化に深く根付いている。

アルジェリアの歴史は古代ローマ時代まで遡り、その後もアラブ人の進出やオスマン帝国の支配を経て、19世紀にはフランスの植民地となった。特に1830年から1962年までの132年間に及ぶフランス支配は、アルジェリア社会に大きな変化をもたらした。フランス人入植者による土地の支配、アラブ・ベルベル系住民に対する差別政策、資源の搾取などが続き、独立を求める運動が高まった。1954年から1962年にかけてアルジェリア独立戦争が展開され、激しい戦闘と犠牲を経て最終的に独立を勝ち取った。この独立戦争は20世紀の反植民地主義運動の象徴的事例として知られている。

独立後のアルジェリアは、一党独裁体制を敷き、社会主義的な経済運営を進めた。国営化政策によって石油・天然ガス産業を掌握し、国家財政を支える基盤とした。しかし経済は資源依存に偏り、石油価格の変動に大きく左右される脆弱性を抱えた。また、政治体制は軍や与党勢力の強い支配の下で硬直化し、民主化の動きは抑えられた。

1990年代に入ると、国内情勢は大きな混乱に陥った。1980年代後半の経済危機を背景に民主化要求が高まり、多党制が導入されたが、イスラム主義勢力であるイスラム救国戦線(FIS)が選挙で圧勝すると、軍部が介入して選挙結果を無効化した。これをきっかけに激しい内戦が勃発し、1990年代を通じて数十万人規模の犠牲者を出す悲惨な時代となった。この「暗黒の十年」と呼ばれる内戦は、テロや虐殺が頻発し、社会に深い傷跡を残した。

2000年代以降、政府は和解政策を進め、内戦は収束した。経済面では石油・天然ガスの輸出を背景に一定の安定を取り戻した。アルジェリアは世界有数の天然ガス輸出国であり、特に欧州への供給源として戦略的重要性を持つ。国営企業ソナトラック(Sonatrach)が資源開発を主導し、国家財政の大部分を支えている。ただし、資源依存の体質は変わらず、価格下落時には財政赤字や失業増加に直面している。

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