◎ロシアとウクライナの穀物に依存している貧しい国々は食料の確保に苦労している。
2022年6月3日/ロシア、ソチの政府施設、プーチン大統領とアフリカ連合議長のマッキー・サル大統領(Mikhail Klimentyev/AP通信)

アフリカ連合(AU)の議長であるセネガルのマッキー・サル(Macky Sall)大統領は3日、ロシアのソチでプーチン(Vladimir Putin)大統領と会談し、食料安全保障などについて協議した。

サル氏は「アフリカ諸国の食料価格が高騰している」と警告した。

ロシアとウクライナの穀物に依存している貧しい国々は食料の確保に苦労している。

サル氏は会談の冒頭、「世界中で発生している問題に注意を払う必要がある」とプーチン氏に訴えた。「アジア、中東、ラテンアメリカ、多くの国が今起きている問題に注意を向けています」

「アフリカは(戦争の)舞台から遠く離れていますが、犠牲者であることを理解してください」

プーチン氏は西側の経済制裁が穀物と肥料の不足に拍車をかけたと主張している。

サル氏はプーチン氏の見解を支持し、西側諸国に食料部門を制裁から除外するよう呼びかけた。

西側は食料と肥料を制裁対象から除外しているが、ロシアの一部銀行をSWIFT(国際銀行間通信協会)から排除したことで、多くの国がロシアに輸入品の代金を支払うことができなくなった。

また、ロシアの海運は制裁対象であり、世界の海運会社はロシア産貨物の輸送に消極的である。

国連はアフリカで「飢餓のハリケーン」が発生する可能性があると懸念を表明している。アフリカ諸国はロシアとウクライナの小麦に依存しており、2018年~2020年の輸入量は全体の44%にのぼる。

またアフリカ開発銀行によると、2月24日の開戦以来、大陸の小麦価格は約45%上昇したという。

プーチン氏は「西側が制裁を解除するのであれば、ウクライナ南部に滞留する穀物を黒海の人道回廊で世界に輸出する用意がある」という以前の主張を繰り返した。

プーチン氏は先週、イタリアのドラギ(Mario Draghi)首相との電話会談で、「西側の政治的動機による制裁を解除することを条件に、穀物と肥料の輸出を通じて食料危機の克服に大きく貢献する用意がある」と述べていた。

欧米諸国はロシアがウクライナ南部の港を封鎖し、そこに滞留している2000万トン以上の穀物を人質に取り、世界を脅迫していると非難している。

一方、ロシアは港の封鎖を否定し、ウクライナが黒海に機雷を設置したと主張。機雷の除去と人道回廊の確保、そして制裁解除を求めている。

ウクライナは黒海の人道回廊設置に原則合意するとしているが、「ロシア軍が回廊を利用してオデーサの港に軍艦を配備し、攻撃を仕掛ける恐れがある」と懸念している。

オデーサ州が陥落すれば、ウクライナは主要な港をすべて失うことになる。

アフリカ大陸では大規模な干ばつも進行中である。

国連によると、サハラ砂漠の南に位置するサヘル地域では1800万人が深刻な飢餓に直面している。また、多くの農家が数十年で最悪の干ばつに悩まされ、エチオピア、ソマリア、ケニアでも飢餓が加速している。

世界貿易機関(WTO)によると、ウクライナの港には行き場を失った穀物約2500万トンが保管されており、さらに2500万トンが来月収穫される見込みだという。

農家はサイロが空にならないと収穫できない。収穫できないと作付けもできない。

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