◎アフリカ北部に入った難民・移民のほぼ全員が豊かな西欧への亡命を希望している。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は9月30日、今年アフリカ北部で保護されたスーダン難民が35万人を超え、昨年4月以降にアフリカ北部・リビアに入国した移民が10万人近くに達していると明らかにした。
それによると、アフリカ北部に入った難民・移民のほぼ全員が豊かな西欧への亡命を希望しているという。
UNHCRはレポートの中で、「今年1~8月までの間に北アフリカと西アフリカから欧州に向けて海路で出国した難民・移民は13万4000人を超えると推定され、前年よりわずかに減少した」と明らかにした。
国際移住機関(IMO)もアフリカ大陸の紛争地から逃れる移民が急増していると警告している。
スーダン軍政と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」は昨年4月から首都ハルツームなどの支配権を争っている。
この内戦は世界最悪の人道危機に発展。人口の5割強にあたる約2500万人が飢餓に直面し、世界保健機関(WHO)は2万人以上が死亡、数万人が負傷したと推定している。
激戦が続く西部ダルフール地方では複数の地域で餓死者が出ているという情報もある。被害の全容は明らかになっておらず、調査が進む目途も立っていない。
スーダンを含む紛争地から逃れた難民・移民はアフリカ北部のリビアとチュニジアに拠点を置く人身売買組織に金を支払い、ボロボロの木造船やゴムボートに乗ってイタリアやギリシャを目指す。
国連は毎年少なくとも1000~1500人の移民がこの海域で死亡または行方不明になっていると推定している。
アフリカ北西部・スペイン領カナリア諸島を目指す移民も後を絶たず、毎年数万人がモーリタニア、モロッコ、アルジェリア、セルビアから出港する。
その大半がカナリア諸島を目指す一方、スペイン本土に渡ろうとする者も少なくない。このルートは世界でも最も危険な航路のひとつであり、毎年数千人が死亡または行方不明になっている。