アフリカ各国が「ギャンブル税」引き上げ、業界猛反発、依存症対策
各国政府はギャンブル依存症を抑制し、財政収入の確保につなげたい考えだが、業界側からは反発の声も強い。
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アフリカ各国でオンラインギャンブルが急増する中、政府が「ギャンブル税」の引き上げに乗り出している。各国政府はギャンブル依存症を抑制し、財政収入の確保につなげたい考えだが、業界側からは反発の声も強い。最も影響が大きい南アフリカでは、税引き上げ案を巡る議論が国政レベルで続いている。
南アフリカのギャンブル規制当局NGB(National Gambling Board)によると、現在同国では成人の3分の2がオンラインでギャンブルを行っていると推定されている。これは2017年頃の約30%から著しく増加した数字であり、特にモバイルアプリを利用したスポーツベッティングやカジノ型ゲームの人気が高まっている。
政府はこうした状況を受け、オンラインギャンブルの利益に対する国税率を20%に引き上げる草案を議会に提出した。現行では地方政府が課す税率が中心で、総合しても6〜9%程度にとどまっているが、国税を加えることで税収を現行の48億ランド(約450億円)から100億ランド(約930億円)へ倍増させることを見込んでいる。草案は今年議会に提出され、正式な法案化は2027年2月に予定されている。複数の政党がこの税制改革案に支持を示しているという。
当局はこの引き上げでオンラインギャンブルの過度な利用を抑え、依存症の増加を食い止めることを狙うが、業界からは強い反発が出ている。ギャンブル会社の代表組織SABA(South African Bookmakers’ Association)は、税負担が増大することで合法のオンライン市場が縮小し、逆に違法な地下賭博サイトへの誘導を招く可能性があると主張する。現在の税制に国税分を加えた合計税率は、付加価値税なども含めると最大38.5%に達するとの指摘があり、これでは合法企業が競争力を失うとの懸念を示している。業界側は違法市場の取り締まり強化こそが効果的な対策だとしている。
ギャンブル依存症の実態も深刻だ。南アフリカ政府の統計によると、ギャンブル依存症に関する全国ダイヤルへの相談件数は2025年に前年度比で7割以上増加し、約4600人が依存症治療を受けたという。依存症支援団体は多くの人々が娯楽目的というより生活苦からギャンブルにのめり込んでいると分析し、「繁栄を求めてギャンブルに頼っているのが現状だ」と指摘する。
南アフリカ以外でも同様の動きが見られる。マラウイやジンバブエなどアフリカ南部の国々でもギャンブル利益に対する税率を引き上げる措置を今年実施している。また西アフリカのセネガル政府も追加課税が盛り込まれた経済再建計画を打ち出したが、現地の依存症支援団体代表は、税制強化だけでは問題は解決せず、依存症患者への具体的な支援策が不可欠だと訴えている。
ギャンブル市場の成長はスマートフォンの普及やオンライン決済の発達に伴い、アフリカ全域で加速している。特に若年層や失業率の高い地域でギャンブルの利用が広がり、経済的に不安定な人々が一発逆転を期待してベットを繰り返すケースが目立つようになっている。政府はこうした背景を踏まえつつ、依存症対策と税制改革の両面で持続可能な政策設計が必要だと強調している。
一方で業界側は、税率引き上げが合法市場の収益性を低下させ、違法賭博や地下サイトの温床となりかねないとして、政府に対し規制強化や教育・啓発活動の充実を求める姿勢を崩していない。今後、議会での審議や地域ごとの税制調整などを通じて、政府と業界の攻防が続く見込みである。
