SHARE:

南アフリカ政府が治安対策で軍展開、警察を支援、課題も


兵士の派遣期間は2026年3月1日から2027年3月31日までの13カ月間。
2026年3月11日/南アフリカ、ヨハネスブルグ市内、陸軍の部隊(AP通信)

南アフリカ政府は深刻な犯罪問題に対処するため、軍を国内の治安対策に投入する異例の措置を取った。犯罪多発地域に兵士を派遣し、警察と連携して治安維持に当たらせるもので、同国が抱える暴力犯罪の深刻さを浮き彫りにしている。

今回の作戦では2200人の兵士が治安活動に投入された。これは国防軍が警察の法執行活動を支援する形で行われるもので、ギャング暴力や違法採掘など組織犯罪への対策が主な目的である。憲法の規定により、大統領は軍の国内派遣を議会に通知する必要があり、ラマポーザ(Cyril Ramaphosa)大統領が正式に命令を出した。

兵士の派遣期間は2026年3月1日から2027年3月31日までの13カ月間。近年では最も長期の国内治安支援となる。作戦の費用は約4920万ドルに上る見込みで、犯罪対策としては大規模な国家的取り組みとなっている。

軍が展開する地域は国内9州のうち5州である。具体的には経済の中心地ヨハネスブルクを抱えるハウテン州、観光都市ケープタウンのある西ケープ州のほか、東ケープ州などが対象となる。これらの地域は犯罪発生率が高く、治安悪化が長年の課題となってきた。

今回の作戦で重点的に取り締まる犯罪は2つある。1つは都市部で深刻化するギャングによる暴力犯罪で、特にケープタウン郊外の「ケープフラッツ」と呼ばれる地域では、抗争による殺人事件が頻発している。もう1つは違法採掘で、閉鎖された鉱山を利用した金の不法採掘が犯罪組織の資金源となっている。

当局によると、国内には約3万人の違法採掘者が存在すると推定され、使われなくなった約6000カ所の鉱山で活動している。これらのグループは武装していることも多く、鉱山の利権を巡って暴力事件が起きることもある。

兵士は警察の指揮下で活動し、主に犯罪多発地域での治安維持、容疑者の逮捕、違法銃器や爆発物の回収、麻薬の押収など4つの任務を担う。軍が直接治安活動を行うのではなく、警察の支援部隊として機能する点が特徴である。

南アでは過去にも軍が治安維持に投入されたことがある。2023年には犯罪多発地域に3000人以上の兵士が短期間派遣されたほか、同年には幹線道路でトラックが相次いで放火される事件を受けて軍が出動した。しかし、今回のような長期間の大規模派遣は近年では例がない。

国内では犯罪率の高さが長年の社会問題となっており、銃犯罪やギャング抗争、組織犯罪などが治安悪化の要因とされる。政府の今回の措置には、犯罪に苦しむ地域住民から期待の声が上がる一方、軍の投入が根本的な解決につながるか疑問視する意見もある。政府は警察との連携を強化し、治安回復と組織犯罪の抑制を目指すとしている。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします