ジンバブエ大統領の任期延長をめぐる公聴会で乱闘、憲法改正案めぐり与野党の対立激化
この公聴会は議会が審議中の憲法改正法案第3号に対する国民の意見を聞く手続きとして開催されたもので、全国各地で行われている。
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ジンバブエの首都ハラレで3月31日、大統領の任期延長を可能にする憲法改正案に関する議会の公聴会が暴力沙汰に発展し、混乱状態に陥った。公聴会は国民の意見を聴取するための必須手続きとして全国で実施されているが、野党や市民社会の反対派が排除される場面が相次いだ。
暴力が発生したのはハラレ郊外のスポーツ複合施設で行われた公聴会で、人権派弁護士がムナンガグワ(Emmerson Mnangagwa、83歳)大統領の支持者に取り囲まれ、押し倒されるなどして負傷した。襲撃により弁護士の携帯電話や眼鏡も奪われ、退場を余儀なくされた。支持者側は大統領の任期延長に賛意を示す声を上げ、弁護士を「反逆者」「盗人」などと呼んだ。
この公聴会は議会が審議中の憲法改正法案第3号に対する国民の意見を聞く手続きとして開催されたもので、全国各地で行われている。だが現場では、批判意見を述べようとする参加者が”やじ”やブーイングによって声をかき消される、発言の機会を奪われるといった事例が相次ぎ、野党関係者らは「威圧的な環境だった」と非難している。
同法案は、83歳のムナンガグワ氏の任期を現行の2028年までからさらに2年間延長しうる内容を含む。加えて大統領選挙を国民の直接投票ではなく議会選出に変更し、大統領および議員の任期を現行の5年から7年へ延ばす条項も盛り込まれている。これらの変更が実施されれば、現職の権限が強化されるとの懸念が強まっている。
反対派の中心人物であるテンダイ・ビティ(Tendai Biti)氏は憲法改正に反対する運動を率いている。ビティ氏は公聴会について、「反対意見を封じ込める威圧が横行し、国民の真正な声を反映するものになっていない」と述べ、複数の地域で同様の妨害が確認されたと指摘した。なおビティ氏は先週、改正案に反対する無許可集会を主催したとして拘束されていたが、保釈されている。
今月初めにも、別の野党指導者が提案された改正内容に反対する集会後に身元不明の男らに殴打され、病院に搬送された事件が発生している。この人物は警察官が襲撃に関与したと証言しているが、警察当局は関与を否定し、集会が違法であったと主張している。
政府側はこれらの批判に対し、 異論の抑圧は行っていないと反論している。改正案の手続きは法に基づいて進められており、ムナンガグワ氏は2028年に退任する意向を表明しているものの、与党ZANU-PF(ジンバブエ・アフリカ民族同盟愛国戦線)の一部が延長案を推し進めていることについて公に否定はしていない。
ムナンガグワ氏は2017年のクーデターで独裁者ムガベ(Robert Mugabe)前大統領が追放された後、権力を掌握した。その後2018年と2023年の選挙では勝利を収めたものの、国際的な人権団体や野党は選挙過程や結果について疑問を呈している。反対派は憲法改正による任期延長には国民投票による承認が必要であると主張し、今後の法案成立過程を巡る議論はさらに激化する見通しである。
