チュニジア沖で移民船転覆、1人救助、50人死亡の恐れ
救助された1人の男性は海上で約24時間漂流していたとされ、救助時、他の乗客は全員死亡したと思うと話したという。
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アフリカ北部・チュニジアの沖合で移民船が沈没し、1人が救助され、約50人が溺死したとみられる。地元メディアが25日に報じた。それによると、この船は同国北部の港を出航し、イタリアを目指していたとみられる。
救助された1人の男性は海上で約24時間漂流していたとされ、救助時、他の乗客は全員死亡したと思うと話したという。男性は近くを通りかかった商船に救助され、医療措置を受けるためマルタに搬送された。
ロイター通信は当局者の話しとして、「生存者の話しでは、この船には少なくとも50人の移民が乗船していたとみられる」と伝えている。
この事故は移民・難民が欧州への亡命を求めて危険な船旅を続ける現状を改めて象徴するものである。チュニジアはリビア沖での取り締まり強化以降、北アフリカから欧州を目指す人々にとって主要な出航地点となっているが、老朽化した船舶や過密状態、悪天候などが重なり、多くの危険をはらんでいる。
国連の専門機関である国際移住機関(IOM)は中央地中海ルートにおける死亡・行方不明者数が引き続き高水準にあると指摘しており、EUによる北アフリカ諸国との移民管理協力強化が必ずしも安全性向上に結びついていないとの批判も出ている。過去の類似事故では多数が救助される一方で多くの移民が犠牲になり、地中海の海上移動の危険性が浮き彫りになっている状況だ。
チュニジア政府や沿岸警備当局は定期的に救助・捜索作業を実施しているものの、広大な海域の監視と迅速な対応には限界があるとの指摘が出ている。また、欧州各国が難民・移民の受け入れ枠や審査基準を厳格化していることも、出発前にリスクの高い小型船での航海を選ばざるを得ない状況を生み出しているとの分析もある。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)など国際機関によると、地中海を渡る移民・難民は数万人規模に及び、毎年数千人が死亡または行方不明になっている。背景には故郷での紛争、貧困、政治的不安定など多様な要因があり、欧州での安全・経済的安定を求める人々が海上ルートに頼らざるを得ない現実がある。
今回の事故を受けて、国際社会や人道支援団体からは救命艇や監視・救助体制の強化、そして根本的な移民支援政策の見直しを求める声が出ている。一方で、各国政府は密航阻止と国境管理のバランスをどのように取るかという難しい課題に直面している。今回の悲劇が欧州と北アフリカ諸国による協調的な対応策の見直しにつながるかどうかが注目される。
