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リビア・トリポリの海岸に移民5人の遺体、沿岸警備隊が捜索中

リビアは2011年にカダフィ政権が崩壊して以降、政治的混乱が続き、西部と東部に拠点を置く2つの政府の対立が続いている。
アフリカ北部・リビアの海岸、移民の遺体を収容する当局者(Getty Images/AFP通信)

アフリカ北部・リビアの首都トリポリ近郊の沿岸で21日、少なくとも5人の移民とみられる遺体が打ち上げられているのが発見された。地元警察が明らかにした。遺体の中には2人の女性が含まれ、ライフジャケットを身に着けた状態で浜辺に横たわっていたという。

遺体が見つかったのはトリポリの東方約73キロに位置する地区の海岸で、地元住民が発見し、警察に通報した。トリポリ警察の責任者はロイター通信の取材に対し、「通報した住民によると、子どもの遺体も打ち上げられていたが、波により海に流され、沿岸警備隊が捜索している」と語った。

警察は遺体について、近隣諸国から入国した移民とみられると説明している。国籍や身元は明らかになっていない。

地元当局は遺体をリビア赤新月社に引き渡し、捜索作業を継続している。警察はさらに多くの遺体が打ち上げられる可能性があるとの見方を示した。

リビアは2011年にカダフィ政権が崩壊して以降、政治的混乱が続き、西部と東部に拠点を置く2つの政府の対立が続いている。この混乱を背景に、紛争や貧困から逃れようとするアフリカや中東の移民たちが地中海を渡り欧州を目指すため主要な出発点となっている。多くの移民がトリポリ周辺の海岸から小型船や過密状態のボートで出航し、危険な地中海ルートを通ってイタリアやマルタ方面へ向かうが、高波波や過積載、装備不良などで行方不明になってきた。

今月初めにはトリポリ西部沖で少なくとも55人を乗せて移民船が転覆。53人が行方不明になる事故が発生していた。この事故は地中海ルートの危険性を改めて浮き彫りにした。

こうした海上での事故に加え、国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)と国連リビア支援団が先週発表した報告書では、リビア国内で移民が拉致、拷問、性的暴行、強制労働など深刻な人権侵害に直面している実態が明らかにされている。報告書は移民船を同国内に戻す慣行を中止し、地中海での捜索・救助活動を強化する必要性を訴えたが、リビア政府やEUの対応は依然として限定的だとしている。

専門家はリビアを出発点とする移民の流れとそれに伴う悲劇が続く背景には、同国の政治的分断や治安の脆弱さ、経済的困難があり、海上ルートの安全確保と人道的支援の強化が喫緊の課題だと指摘している。この日打ち上げられた5人の遺体の身元や出身地、亡くなった状況など、詳細については調査が進められている。

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