▽西側諸国はこの紛争が1990年代から2000年代の第2次コンゴ戦争のような規模に発展することを恐れている。
の戦闘員と住民(Getty-Images/AFP通信).jpg)
アフリカ中央部・コンゴ民主共和国の反政府勢力M23(3月23日運動)が東部・南キブ州ブカブを占領した。地元当局が16日、明らかにした。
M23が主導する「コンゴ川同盟」は先月末に東部・北キブ州の最大都市ゴマを制圧。東部第2の都市である南キブ州ブカブに進軍した。
M23は今月初めに一方的に停戦を宣言したが、ゴマ郊外ではそれ以降も激しい戦闘が続いているとみられる。
国連はM23がゴマを制圧して以来、3000人近くが死亡、約2900人が負傷したと報告している。実際の死傷者数はもっと多いという情報もある。
欧米諸国は隣国ルワンダによるM23への軍事支援を非難。一部の国は援助停止を決めている。
ルワンダ軍はM23を積極的に支援し、ゴマ市内で堂々と活動中。ゴマ郊外でコンゴ軍と交戦中という情報もある。
ルワンダ大統領府は先月末、「コンゴとの全面戦争に応じる用意がある」と表明した。
コンゴ川同盟は16日の声明で、130万人の人口を抱えるブカブの「旧体制」下での治安上の課題に対処するため、戦闘員がブカブの住民を支援することを決定したと述べた。
またコンゴ川同盟は、「我々の部隊は住民全体が満足するように、住民とその財産の回復に努めてきた」と主張した。
政府と軍はコメントを出していないが、地元自治体はブカブがM23の占領下に置かれたこと認めている。
ブカブの一部地域では戦闘が続いているとみられるが、国軍の大部分が撤退したとみられる。
ロイター通信は16日、関係者の話しとして、「M23はほとんど抵抗を受けることなく、ブカブ中心部に到達した」と報じた。
政府は15日にブカブの秩序を回復すると宣言したが、市内に兵士の姿はほとんどなかった。
M23はルワンダとウガンダの支援を受けていたコンゴのツチ族武装集団の元戦闘員で構成され、2009年3月に締結された和平協定により、コンゴ軍に編入された。
しかし、M23の戦闘員はコンゴ軍に編入された後もルワンダ国境付近で活動を続け、13年の紛争に敗れるとルワンダやウガンダに逃亡。21年11月頃から活動を活発化させ、北キブ州の複数の集落を占領した。
コンゴ、米国、国連安保理はルワンダ政府がM23を支援していると指摘。ルワンダはこの主張を否定している。
1994年のルワンダ大虐殺に関与したとされるフツ族の住民数千人がコンゴ東部に逃げ込んで以来、両国の関係は緊張状態にある。
M23はコンゴに逃げ込んだフツ族の掃討を目指しているものとみられる。ルワンダはコンゴ政府が組織的に大虐殺の加害者であるフツ族を匿っていると主張している。
ルワンダ大虐殺の犠牲者は80万~100万人と推定されている。フツ族の過激派はツチ族だけでなく、フツ族の穏健派も殺害した。
国連はコンゴ国内で活動するルワンダ兵を最大4000人と推定している。
政府とM23による戦争は世界最大級の人道危機に発展。700万人以上が避難を余儀なくされている。
ゴマには国連コンゴ民主共和国安定化ミッション(MONUSCO)の本部と南部アフリカ地域圏の基地があり、郊外の避難民キャンプでは少なくとも200万人がテント生活を送っている。
M23はブカブから30キロほど離れた地点にある空港も占拠したとみられる。
ソーシャルメディアで共有された動画にはブカブの住民がM23の到着に歓喜する中、大きな荷物を持って避難する人々の様子が映っていた。
M23の最高司令官であるコルネイユ・ナンガア(Corneille Nangaa)氏は16日、ブカブの州知事府前で演説。「私たちは首都キンシャサに向かう」と語った。
別の幹部はSNSに声明を投稿。「我々は旧体制が残した無秩序を一掃するつもりだ」と書いた。また幹部は市民に対し、M23に加わり、キンシャサへの進軍に参加するよう促した。
その後、政府はSNS上でブカブがM23の占領下に置かれたことを認め、「秩序と領土の完全性を回復するために全力を尽くしている」と強調した。
ブカブでM23を歓迎した男性はAP通信の取材に対し、「M23はキンシャサを取り戻し、新政府を立ち上げることになるだろう」と語った。
別の住民は国軍を「臆病者」と呼び、市民を見捨てて逃げ出したと非難した。
西側諸国はこの紛争が1990年代から2000年代の第2次コンゴ戦争のような規模に発展することを恐れている。この戦争では500万~600万人が死亡したと推定されている。