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数百匹のアリを密輸した疑い、男2人起訴 ケニア


起訴状によると、中国籍の張克群(Zhang Kequn)容疑者はケニア人のチャールズ・ムワンギ(Charles Mwangi)容疑者からアリを調達していたとされる。
2026年3月17日/ケニア、首都ナイロビの国際空港、押収したアリをチェックする当局者(AP通信)

ケニア当局は17日、数百匹のアリを不法に所持していたとして、ケニア人と中国人の2人を野生動物保護法違反の疑いで起訴した。2人は首都ナイロビにあるジョモ・ケニヤッタ国際空港で身柄を確保され、野生種を違法に取り扱った罪などの容疑で送検された。検察側は両被告が必要な許可なくアリを販売・輸出目的で取り扱っていたと主張している。

起訴状によると、中国籍の張克群(Zhang Kequn)容疑者はケニア人のチャールズ・ムワンギ(Charles Mwangi)容疑者からアリを調達していたとされる。張容疑者は600匹のアリを6万ケニア・シリングで購入し、さらに700匹を7万0シリングで買い取っていたという。逮捕時、2000匹近い「ガーデンアリ(queen garden ants)」が特殊なチューブに収められ、さらに約300匹がティッシュペーパーのロールの中に隠されていた。

ムワンギ容疑者は別件で、さらに多くの生きたアリを所持していたとして追起訴されている。両容疑者は現在拘留中で、次回の公判は3月27日の予定。弁護側は容疑者が法を犯していることを認識していなかったと述べているが、検察は国外への輸出を視野に入れた取引として立証を進めている。

ケニアでは近年、象牙やサイ角といった大型哺乳類の密猟に対する取り締まりが強化されてきたが、アリのような小さな生物の密輸・密売が新たな問題として浮上している。昨年には2人のベルギー人が5000匹のアリを所持していたとして野生動物密輸の罪に問われた。この事件ではアリが試験管に詰められ押収やアジアの市場向けに出荷されようとし、総数は5000匹にのぼった。

ケニア野生生物局は当時、このアリ密輸事件を「大きな哺乳類から生態学的に重要な小種への密輸トレンドの変化」と表現し、同国の生物多様性保全への深刻な脅威であると警告。「アリの違法輸出はケニアの生物多様性に対する主権を損ない、地域社会や研究機関が得られる潜在的な生態学的・経済的利益を奪う」と指摘していた。

アリはペットとしてコレクター市場で取引されることがあり、一部の種は海外の愛好家によって高値で売買されている。特に女王アリは新しいコロニーを構築できるため、コレクター市場で人気が高いとされる。ケニア国内ではアリ密輸事件が相次ぎ、一部の事件では最大で1000万シリング相当の価値があるとして捜査当局が強い関心を寄せていた。

ケニアの野生動物保護法は許可なく野生種やその産物を販売・輸出することを明確に禁じ、違反者には罰金や実刑が科される可能性がある。専門家はこのような小型生物の密輸が生態系へ及ぼす影響は見過ごせないと指摘している。例えば、特定のアリ種は土壌の健康を保つ役割を果たすため、無秩序な採取や輸出が進めば地域の生態系バランスが崩れるおそれがあるとされる。

今回の起訴事案はケニア国内で増加しているとみられるアリの違法取引に対する当局の取り締まりの一環であり、国際的な野生生物保護の枠組みに照らしても注目されている。関係当局は引き続き密輸ネットワークの解明を進めるとともに、生物多様性の保全に向けた法執行の強化が求められている。

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