モロッコ第3の都市でアパート倒壊、19人死亡、16人負傷
2棟は9日深夜から10日未明にかけて突然倒壊。2棟では8世帯が暮らしていたという。
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モロッコ北部フェズで4階建てのアパート2棟が相次いで倒壊し、少なくとも19人が死亡、16人が負傷した。当局が10日、明らかにした。
それによると、2棟は9日深夜から10日未明にかけて突然倒壊。2棟では8世帯が暮らしていたという。
崩壊後、警察や消防などの救助関係者が現場に急行し、救助・捜索活動が開始された。負傷者は近隣の病院に搬送され、近隣住民は避難を余儀なくされた。
倒壊の原因については現時点で明らかになっておらず、当局が調査を開始したとしている。行方不明者がいるかどうかも分かっていない。
フェズはモロッコ第3の都市で、古い城壁や中世のスーク(市場)、伝統的な皮なめし地区などで知られる観光都市であるが、一方で多くの地区で老朽化した住宅やインフラが残り、貧困地域も多い。
今回の倒壊は急増する人口や不適切な住環境、建築基準や安全規制の緩さなど、モロッコ社会が抱える根深い構造的問題を突きつけるものとなった。
事実、今年5月にも同じくフェズで建物の崩落があり、10人が死亡、7人が負傷する事故があった。この建物は当時、立ち退き対象になっていたとの報道もあった。
こうした悲劇が繰り返されている背景には、古い集合住宅が多く、安全基準が徹底されていない状況、そして都市インフラ整備の遅れや経済的格差がある。今月はフェズ市も共催する予定の国際スポーツ大会、2030年にはFIFAワールドカップを控えており、安全・インフラ整備の必要性が改めて浮き彫りとなった。
政府や地方当局は原因究明を進めるとしているが、多くの市民は今回のような事故に対し、不安と怒りの声をあげている。年の瀬に起きたこの大惨事はモロッコ国内のみならず国際社会にも衝撃を与えており、住宅事情や都市政策の見直しを迫るものとなっている。
