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IEA、在宅勤務や運転抑制による省エネ呼びかけ、エネルギー価格急騰受け


提言では、特に通勤に伴うエネルギー消費の削減が大きな効果を持つとされる。
キッチンのイメージ(Getty Images)

国際エネルギー機関(IEA)は20日、エネルギー消費の削減に向け、在宅勤務の活用や自動車の減速運転といった日常的な行動の見直しを各国に呼びかけた。エネルギー需要の増大と供給不安、さらには気候変動対策が同時に求められる中、個人レベルの取り組みも重要な鍵になると指摘している。

提言では、特に通勤に伴うエネルギー消費の削減が大きな効果を持つとされる。週に数日でも在宅勤務を導入すれば、自動車や公共交通機関の利用が減り、燃料消費の抑制につながる。都市部では交通量の減少により渋滞が緩和され、結果的に全体のエネルギー効率も改善される可能性がある。コロナ禍で広がった働き方を、持続可能な社会に向けた手段として定着させる狙いがある。

さらに、自動車の走行速度を抑えることも有効な対策として挙げられた。高速走行は燃費を悪化させるため、速度制限の引き下げや穏やかな運転を促すことで、比較的容易に燃料消費を削減できる。例えば高速道路で速度をわずかに下げるだけでも、消費エネルギーの減少につながると分析されている。

このほか、公共交通機関の利用拡大や相乗りの推進、短距離移動における徒歩や自転車の活用なども提案された。航空機利用についても、代替手段がある場合は控えるよう呼びかけている。これらの取り組みは個々には小さな変化に見えるが、広範に実施されれば大きなエネルギー削減効果を生む。

背景には、エネルギー価格の高騰や国際情勢の不安定化がある。化石燃料への依存を減らしつつ安定供給を維持するには、再生可能エネルギーの拡大だけでなく、需要そのものを抑える必要がある。IEAは、行動変容による需要削減は短期間で成果が現れやすい点でも重要だとしている。

一方で、在宅勤務は職種によって導入の可否が分かれ、製造業やサービス業などでは難しい場合も多い。また、速度制限の見直しは物流や移動時間への影響を懸念する声もあり、社会的合意が課題となる。各国政府には、こうした現実的な制約を踏まえた柔軟な政策設計が求められる。

エネルギー問題の解決は技術革新だけでなく、社会全体の行動に大きく依存する。IEAの提言は、日々の選択がエネルギー消費や環境負荷に直結することを示しており、持続可能な社会の実現に向けた新たな生活様式の確立を促すものとなっている。

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