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中国の「一人っ子政策」は本当に必要だったのか

国家統計局によると、2025年の出生率は戦後最低となり、人口は4年連続で減少した。
1997年8月18日/中国、山東省、一人っ子政策の看板と自転車に乗る男性(AP通信)

中国の「一人っ子政策」は本当に必要だったのかどうかについて、専門家の間で疑問や懐疑的な見方が強まっている。1980年に導入されたこの政策は、人口爆発を抑制するための極端な措置として、強制中絶や不妊手術などの厳しい手段を伴い、多くの人権問題を引き起こしたとされる。しかし、中国の人口動態は政策廃止後も劇的な改善を見せず、近年では出生率低下と人口減少が深刻化していることから、政策そのものの効果と必要性が改めて問われている。

国家統計局によると、2025年の出生率は戦後最低となり、人口は4年連続で減少した。労働力人口の縮小や急速な高齢化は経済および社会保障制度に深刻な影響を及ぼすとの懸念が強まっている。こうした状況を受けて、専門家の一部は、一人っ子政策が人口減少を加速させた可能性を指摘している。

当時の中国政府は急激な人口増加が経済発展や食糧供給能力に深刻なリスクをもたらすと判断し、一人っ子政策を導入した。世界的にも人口抑制は重要課題とされ、インドなど他国でも人口管理策が議論されていた時期であった。しかし、人口がすでに減少傾向を示していた1970年代から、経済発展や都市化が進むにつれて出生率は低下し、政策がなければ自然に出生率が下がっていた可能性もあるとの指摘がある。

実施期間中、子どもは1人に制限され、2人目以降の妊娠には罰金や強制的な中絶、不妊手術が課された。これにより不妊手術を受ける男女の数は政策緩和前の2014年には女性約140万人、男性約18万人に上ったが、2020年にはそれぞれ約19万人、約2600人に激減したという統計もある。こうした施策は女性の健康や人権に重大な影響を及ぼしたとされ、政策の是非をめぐる議論につながっている。

また、一人っ子政策は社会構造にも大きな変化をもたらした。政策時代に生まれた世代は「小皇帝」と呼ばれ、親や祖父母から過度な期待と世話を受けた一方、現在は一人で複数の高齢家族の面倒をみる負担を抱えるケースが増えている。こうした世代は30~40代に達し、経済的なプレッシャーや孤立感が精神的ストレスや不安の原因となっているとの指摘もある。

政府は2016年に2人制、2021年に3人制へと制限を緩和したが、出生率の回復は限定的にとどまっている。現在、中国では出生率を高めるために現金給付や育児支援策、避妊具の税優遇撤廃など多様な施策が試みられているものの、経済的負担やライフスタイルの変化が影響し、効果は限定的だとしている。

専門家は政策自体がもたらした社会的・倫理的コストを考慮すると、「一人っ子政策は本当に必要だったのか」という根本的な疑問を投げかけている。また出生率低下の原因は経済・社会構造や価値観の変化にも深く根ざしており、単に政策を緩めるだけでは解決できないと指摘されている。これらの議論は人口政策と人権、経済発展のバランスをどう取るべきかという重要な課題を改めて浮き彫りにしている。

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