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オーストラリアで最も「ホット」なビーチイベントへようこそ

こうしたフェスティバルは気候変動や都市化が進む中で、従来のレジャー観に新たな発想をもたらしている。
オーストラリア、シドニーのビーチ(Getty Images)

オーストラリア・ニューサウスウェールズ州で海から400キロ以上離れたクータマンドラに大量の砂を運び込み「オーストラリアで最もホットなビーチイベント」と銘打ったバレーボール大会が開催され、多くの参加者や観光客を集めている。今年で25回目の開催となるこのフェスティバルは、単なるスポーツ大会にとどまらず、地域の文化的イベントとして定着し、地元経済にも大きな影響を与えている。砂やコート、音響設備が町の道路沿い一帯に設置され、波のない内陸の“ビーチ”がこの数日間、夏の祭典の雰囲気に包まれている。

イベントの発祥は25年前、地元のパブで当時51歳のサイモン・サザーランド(Simon Sutherland)氏が「ビーチバレーを町でやってみたらどうか」と冗談半分に語ったことがきっかけだった。サザーランド氏はその夜、自宅でクータマンドラの交差点にバレーボールコートを設ける計画を落書きし、これが実際の大会へとつながった。その後、イベントは年々規模を拡大し、現在では3日間に及ぶ大規模な祭りとなり、地域住民のみならず全国から観光客を引き寄せる。

フェスティバル初日は21日午後、太陽が照りつける中、街の中心部の通りに設けられた複数のコートで試合が始まった。観客席にはカラフルな水着や仮装をした人々が集まり、ポップやロックの音楽が鳴り響く中、選手たちは砂埃を上げながらスパイクやレシーブに熱戦を繰り広げた。大会には「ホーリーブロッカモール」や「イッツィビッツィスパイカー」など遊び心あるチーム名が並び、ミニオンズの仮装チームが黄色の顔と大きなゴーグルで観衆の人気を集めるなどユニークな光景も見られた。

試合形式は屋外ビーチバレーと室内バレーの中間のルールが採用され、各チーム6人で20分間のラリーを繰り広げる。観客は家族連れや友人同士のグループが多く、交互に試合を観戦しながら地元のフードスタンドや飲料ブースを楽しんだ。クータマンドラ在住のパット・ロバーツ(Pat Roberts)さんは、この大会が「クリスマスより大きなイベントになった」と語り、長年にわたり子どもや孫と共にこの祭りを楽しんでいると話した。

地域住民にとってこのイベントは単なるスポーツ大会ではなく、コミュニティの団結と観光促進の象徴となっている。クータマンドラは内陸の小都市だが、毎年このビーチイベントのために数千人が訪れ、約200万ドルと見積もられる経済効果を地域にもたらしている。大会関係者は参加者同士の交流や地元ビジネスの活性化を通じて、地方都市が独自の特色を打ち出すモデルケースになっていると評価している。

こうしたフェスティバルは気候変動や都市化が進む中で、従来のレジャー観に新たな発想をもたらしている。海辺とは異なる場所で「夏のビーチ体験」が創出されることは、地域活性化の一例として国内外の注目を集めている。

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