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米豪が重要鉱物協定に署名、中国に対抗「レアアース戦争」

レアアースはハイテク製品や電気自動車、風力発電機などに不可欠な17種類の希少金属の総称である。
2025年10月20日/米ワシントンDCホワイトハウス、トランプ大統領(右)とアルバニージー豪首相(AP通信)

オーストラリアのアルバニージー(Anthony Albanese)首相は20日、訪問先のワシントンDCホワイトハウスでトランプ(Donald Trump)大統領と会談し、レアアース(希土類)を中心とする重要鉱物開発で合意した。

トランプ氏は中国がレアアースの海外輸出に対してより厳しい規制を課す中、オーストラリア大陸の豊富な資源に目を向けてきた。

両首脳は合意文書に署名。トランプ氏は数か月にわたって交渉してきたと誇らしげに語った。「今から1年後には、重要鉱物や希土類が大量に入手可能になり、その処分に困るほどになるでしょう。大変だ、その価値は2ドルになっちゃうよ」

アルバニージー氏はこの合意が米豪関係を「新たな段階へ引き上げる」と強調した。

中国商務省は今月初め、外国企業に対し、中国産または中国技術で製造されたレアアースを0.1%以上含む磁石の輸出について、中国政府の承認を得るよう義務付けると発表した。

レアアースはハイテク製品や電気自動車、風力発電機などに不可欠な17種類の希少金属の総称である。中国はこのレアアースの採掘・精錬において圧倒的なシェアを持っている。

特に精錬加工に関しては、2020年代に入っても世界の約85~90%を中国が担っており、供給網の中核を占めている。

採掘量においても、近年は米国やオーストラリアなどが生産を増やしているものの、依然として中国が世界全体の6割前後を占めている。

中国政府はレアアース資源を戦略物資と位置づけ、輸出管理や国内産業の優遇政策を通じて国際市場への影響力を強めている。その結果、他国は中国への依存を減らすべく、代替供給源の確保やリサイクル技術の開発に取り組んでいるが、短期的には中国の優位は揺らいでいない。

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