米最高裁の「トランプ関税」違法判決、米中関係に不確実性もたらす
最高裁判決は米中の貿易交渉だけでなく、世界経済全体に対する不透明感を強めている。
と中国の習近平-国家主席(AP通信).jpg)
米国の連邦最高裁判所がトランプ(Donald Trump)大統領の関税措置の多くを違法と裁定したことは、すでに複雑な米中関係に新たな不確実性をもたらしている。最高裁判決はトランプ政権が1977年制定の国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づき関税を課した手法を認めず、連邦議会の権限を損なうものと断じた。これにより、対中貿易を含む米国の対外通商政策の方向性は不透明さを増している。
この判断は中国の交渉力を相対的に強める可能性があると一部の専門家は指摘するものの、中国がこの判決を強く利用するかどうかは慎重だとの見方も出ている。専門家は貿易戦争の再燃を避けつつ、交渉力を維持するという両国の利益が一致するため、直ちに対立を激化させる行動には出にくいと分析する。両国は3月末から4月初めに予定されるトランプ氏の中国訪問を前に、脆弱な貿易停戦を維持する道を模索している。
トランプ氏は判決に反発し、関税政策を放棄する意向は示していない。トランプ氏は最高裁の判断を受けて世界全体に一律10%の関税を課す代替案を発表し、その後これを15%に引き上げるを表明した。この追加関税は1974年通商法の規定を根拠とし、150日間限定の措置として執行される見込みだ。
中国側は公式な立場で、関税戦争は双方に利益をもたらさないとして協力を呼び掛けている。ワシントンDCの在中国大使館は22日の声明で、両国が貿易と経済協力の安定性を高めるために共同で取り組む必要があると表明した。これにより、最高裁の判決が直ちに関係を悪化させるとは限らないとの見方もある。
しかしながら、今回の判決は米国の貿易戦略全体に影響を及ぼす可能性が高い。トランプ政権がIEEPAに依拠してきた関税権限を制限したことで、今後の米国の対外政策は他の手法に依存せざるを得ない状況が生まれている。これには通商法122条に基づく一時的な関税措置や、個別の貿易調査を通じた制裁的な関税導入が含まれるが、これらも長期的な貿易交渉の安定化に必ずしも資するものではないとの指摘がある。
また、最高裁の判断は中国だけでなく、日本や韓国、EUなど他の主要貿易相手国との関係にも波紋を広げている。通商合意の多くは関税による脅しを背景に成立したため、その信頼性について疑問が投げかけられている。各国は今後の交渉戦略を再考し、米国との協力関係を安定させるための対応策を模索している。
このように、最高裁判決は米中の貿易交渉だけでなく、世界経済全体に対する不透明感を強めている。関税政策の法的根拠が揺らいだ結果、国際的な通商ルールと交渉のあり方が問われる局面となっている。今後、トランプ政権がどのような政策手段を用いて対中関係を再構築するかが、世界の経済安定にとって重要な焦点になる。
