米国、台湾に100億ドル超の武器売却へ、国務省が承認
この発表は中国側の強い反発を招く可能性がある。
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米政府は17日、台湾向けの大規模な武器売却パッケージを承認したと明らかにした。総額は100億ドル(約1.55兆円)超とされ、ミサイルシステムや自走砲、ドローンなど多岐にわたる軍需品が含まれている。この発表は中国側の強い反発を招く可能性がある。
トランプ(Donald Trump)大統領は17日にテレビ演説を行ったが、この売却には言及しなかった。国務省が声明を出し、複数の武器売却契約を承認したとしている。米側はこの売却が台湾の防衛力近代化と地域の安定維持に資すると説明している。
その中には82基の高機動砲ロケットシステム(ハイマース)と420基の陸軍戦術ミサイルシステム(エイタクムス)が含まれる。
また、60基の自走榴弾砲システムと関連装備、10億ドル超のドローンも含まれている。さらに、軍事用ソフトウェア(10億ドル超)、ジャベリンやTOWミサイル(7億ドル超)、ヘリコプターの予備部品(9600万ドル)、ハープーンミサイルの改修キット(9100万ドル)が売却対象となる。
国務省は声明で、これらの売却が「受益者の防衛能力を高め、地域の政治的安定や軍事的バランス、経済的進展を維持するのに役立つ」とし、「米国の国家的、経済的、そして安全保障上の利益に資する」と強調した。法的には米国は台湾の自衛を支援する義務を負っている。
台湾当局者も今回の売却を歓迎する意向を示し、これにより台湾側は自らの防衛力強化と潜在的な抑止力の向上を図る構えだ。
一方、中国政府は台湾を自国の領土とみなす立場から、こうした武器売却を強く非難し、「内政干渉」と反発する可能性が高い。中国外務省の報道官は過去の武器売却でも「国家主権と安全保障への重大な侵害」と批判しており、今回の発表にも同様の反応が予想される。
これは台湾への軍事支援を強化する取り組みの一環であり、米中関係の緊張が高まる中で行われた。米国と中国は経済や貿易、安全保障などの分野で対立が続いており、台湾問題は焦点のひとつになっている。
専門家は、今回の売却によって台湾の軍事的な自立性が強化される一方で、地域の戦略的なバランスに与える影響や中国側の反応が今後の注目点になると指摘している。特に、台湾海峡をめぐる安全保障環境は不安定要素が多く、武器売却を契機に緊張が一段と高まる恐れもあるとの見方がある。
米国は今後、売却合意の議会承認手続きを進め、台湾側との協力関係の深化を図る方針だ。台湾への武器売却は米国の外交・安全保障政策の重要な柱となっており、国内外で広範な議論を呼ぶことになりそうだ。
