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インド北部の河川で観光船転覆、10人死亡、捜索活動続く


事故はヒンズー教の聖地として知られるブリンダバン近郊を流れるヤムナ川で起き、地元当局が大規模な救助活動を展開している。
2026年4月10日/インド、北部ウッタルプラデシュ州、観光客を乗せたボートが転覆した現場(AP通信)

インド北部ウッタルプラデシュ州で10日、観光客や巡礼者を乗せた小型ボートが転覆し、少なくとも10人が死亡した。地元当局が明らかにした。事故はヒンズー教の聖地として知られるブリンダバン近郊を流れるヤムナ川で起き、地元当局が大規模な救助活動を展開している。

当局によると、事故を起こしたボートは民間業者が運航していたもので、定員15人に対し、少なくとも25人が乗船していた。過積載の状態で航行していたことが事故要因とみられる。さらに当時は風が強く、船体が大きく揺れた後、仮設の浮橋に衝突し、その衝撃で転覆したと伝えられている。

乗客は観光客や巡礼者で、事故後、救助隊により15人が救出されたが、このうち数人は意識不明の重体。当局は死者数が増える可能性があると報告している。

地元テレビ局は安全対策の不備が被害拡大の一因と報じた。乗客は救命胴衣を着用しておらず、船体の整備状況も十分でなかった可能性がある。事故後、ボートの運航業者が現場から逃走したとの情報もあり、警察が行方を追うとともに、運航管理体制や安全基準の順守状況について調査を進めている。

現場では州の災害対応部隊や警察、潜水士らが投入され、行方不明者の捜索が続けられている。周辺の病院は負傷者の受け入れ態勢を強化し、救助された乗客の治療にあたった。事故発生を受けて州政府も対応に乗り出し、関係当局に対し迅速な救助と被害者支援を指示した。

ブリンダバンは国内外から多くの巡礼者が訪れる宗教都市のひとつだ。ヤムナ川では観光や巡礼を目的とする小型船の運航が日常的に行われている。その一方で、過積載や安全装備の不足、老朽化した船舶の使用など、運航管理の不備が長年指摘されてきた。今回の事故もこうした構造的問題を改めて浮き彫りにした形である。

インドでは河川交通における事故が各地で繰り返されており、2023年にも南部で観光船が転覆し、20人以上が死亡している。背景には規制の不徹底や監督体制の弱さ、事業者による安全軽視などがある。

今回の事故を受け、当局は観光船の運航基準の見直しや安全対策の強化を検討するとみられるが、実効性のある規制と現場での徹底が課題となる。宗教観光の重要性が高まる中で、利用者の安全確保と観光振興をどのように両立させるかが問われている。今回の事故はインドにおける水上交通の安全管理の脆弱性を改めて示す結果となった。

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