◎トンガの医療体制は先進国に比べるとはるかに脆弱であり、首都ヌクアロファのあるトンガタプ島以外で医師のいる離島は少ない。
1月20日、アジアの主要国は海底火山の噴火と津波に見舞われたトンガへの支援活動を本格化させたが、コロナウイルスから小さな島国を保護するための取り組みは支援活動を難しくしている。
保健当局によると、トンガのコロナ症例は昨年10月に報告された1件のみで、死者はゼロ。トンガの医療体制は先進国に比べるとはるかに脆弱であり、首都ヌクアロファのあるトンガタプ島以外で医師のいる離島は少ない。
政府は島民約10万人を保護するために非接触による支援の受け取りを関係国に提案し、20日に現地入りしたオーストラリアとニュージーランドの当局者は慎重に作業を進めた。
NZL国際開発評議会のアーロン・デイビー氏は19日の声明で、「トンガへの支援は厳格なコロナウイルス対策の中で実施される」と述べ、NZL当局と島民は接触しないと強調した。「海中の通信ケーブル修理を含むすべての支援作業は非接触で行われます...」
太平洋諸島のユニセフ事務所を統括するジョナサン・ヴィーチ氏も、「ユニセフはトンガ国内の職員と協力して、トンガに入らず支援活動をサポートできる」と述べた。
またヴィーチ氏はコロナワクチンの接種を支援した際も、島外の職員はトンガに入らず、外部からサポートしたと述べたうえで、「支援の最終段階では外部の専門家をトンガに派遣しなければならない可能性もあるため、政府と検疫について協議する必要がある」と補足した。
ニュージーランドは非接触型の支援を何度も行っている。
地元メディアによると、NZL軍は太平洋諸島の同盟国にコロナワクチンを運搬した際、ヘリコプターで現地入りし所定の場所に物資を置くことで、島民と接触することなくワクチンを送り届けたという。軍の当局者は事前にワクチン輸送に必要なトレーニングを受け、本番に臨んだ。
NZL国際開発評議会のデイビー氏は声明の中で、「NZL当局の輸送機はトンガ政府との取り決めに基づき、空港に消毒された支援物資を届け、島民と接触することなく帰路につく」と述べた。
ヌクアロファを目指しているNZLとAUSの艦艇も同様の方法で物資を提供すると伝えられている。
トンガ政府は2020年に国境を封鎖し、商用便の運航をすべて停止した。以降、国民、永住者、政府から承認を得た個人のみがトンガへの入国を許可され、到着時には21日間の強制隔離が義務付けられた。
輸入品も消毒と検疫を義務付けられている。
昨年10月末に初めて陽性者が確認された時には、東京2020五輪に出場したトンガ代表選手もNZLで立ち往生を余儀なくされた。
保健当局によると、コロナワクチンの完全接種率は島民の約60%。政府は大規模集会の制限や夜間外出禁止令など、党内のコロナ制限も複数維持している。
トンガ政府は1世紀前に流行したスペイン風邪や、その他の外部から持ち込まれたウイルスが島に深刻な影響を与えた経験を基に、コロナを持ち込ませない対策を策定した。
スペイン風邪は島民の8%を死に追いやったと推定されている。それ以前に持ち込まれた”はしか”や赤痢なども国を不安定にしたと伝えられている。
またトンガの肥満率は世界で最も高く(人口の90%以上)、多くの島民が心臓病、糖尿病、その他の肥満関連疾患に悩まされており、コロナの感染拡大は医療機関に大きな負担をかける可能性があると懸念されている。
肥満はコロナの重症化リスクを高める要因のひとつと考えられている。