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アフガン難民540万人が本国に帰還、人道状況悪化=国連

2023年10月以降、パキスタンやイランから540万人以上のアフガン人が帰還したとされ、その多くは自国に戻る意思を持ちながらも、居住国側の強制的な追放や締め付けを受けたという。
2023年11月4日/アフガニスタン、パキスタンのトルカム国境検問所近くに設置された避難所(AP通信)

パキスタンやイランから何百万人ものアフガニスタン難民が本国に帰還し、アフガンの社会基盤や人道支援体制が限界に近づいている。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が13日に警告した。

UNHCRのアフガニスタン担当代表はスイス・ジュネーブでの国連会合で「これは巨大な規模であり、帰還の速さと規模がアフガンを崖っぷちに追いやっている」と述べた。

UNHCRによると、2023年10月以降、パキスタンやイランから540万人以上のアフガン人が帰還したとされ、その多くは自国に戻る意思を持ちながらも、居住国側の強制的な追放や締め付けを受けたという。2025年だけでも290万人以上がアフガンに戻った。UNHCRは2026年に入ってからも約15万人が帰還したと述べ、こうした流れが継続していることへの懸念を示した。

この急増はアフガン国内の人道的状況を一段と悪化させている。帰還者の数は人口の約12%に相当する規模で、食料や水、住居、医療サービスへの需要を急激に押し上げ、国内の限られた資源を圧迫している。冬季の厳しい寒さや降雪、深刻な干ばつ、地震など自然災害の影響もあり、タリバン暫定政権や地域社会は対応に苦慮している。

UNHCRは帰還民や避難民、国内避難民に対する支援に2億1600万ドル(約330億円)が必要と国際社会に呼びかけているが、2月時点での資金調達率は8%にとどまり、救援活動が資金不足に直面しているという。支援が不十分なまま帰還者が増えれば、国全体の人道支援システムが機能不全に陥る恐れもあるとUNHCRは警告している。

帰還者の多くはわずかな所持品しか持たずに国境を越えるケースが多く、仕事や安定した住居を見つけられないまま困窮する人も少なくない。UNHCRが行った調査では、帰還者の90%以上が1日5ドル以下の生活を強いられ、貧困や食料不足が深刻な問題となっている。

また、女性や子どもたちは特に影響を受けやすい。アフガンでは女性の移動や教育、就労が厳しく制限されている地域もあり、帰還者家庭の生活再建や子どもの教育機会の確保が大きな課題となっている。UNHCRは「帰還を望まない人も多く、一部の人々は再び国外に出ようとしている」と述べ、持続可能な生活基盤の構築が困難な現状を指摘している。

国際社会に対しては、資金提供や支援の強化を求める声が強まっている。UNHCRは各国政府や国際機関に対し緊急支援の拡充を訴え、アフガン国内で帰還者と市民双方を支えるための包括的な支援体制の構築を求めている。現在のまま支援が遅れれば、社会不安や貧困の連鎖がさらに拡大する可能性があるとして警鐘を鳴らしている。

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