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中国の航空機メーカー、ボーイングとエアバスに対抗、課題も

2026年2月にシンガポールで開催された航空ショーで同社の主力機C919が展示され、国際市場での競争力を高める意図があらためて示された。
中国商用飛機(COMAC)の旅客機(Getty Images)

中国の国有旅客機メーカーである中国商用飛機(COMAC)は世界の航空機市場で長年の寡占状態にあるボーイング(Boeing)およびエアバス(Airbus)に挑戦する存在として注目を集めている。2026年2月にシンガポールで開催された航空ショーで同社の主力機C919が展示され、国際市場での競争力を高める意図があらためて示された。

COMACは中国政府の支援を受け、国際的に通用する商用旅客機の開発と生産を進めてきた。主力機のC919はエアバスA320neoやボーイング737 MAXと同等の中短距離用単通路機として設計されている。この機体は158〜192席程度の乗客を運ぶ能力を持ち、航続距離は4000〜5500キロメートルに達する。これは欧米の主要機と競合するスペックで、近年中国国内だけでなく東南アジア市場など国外展開を視野に入れた活動を強めている。

C919の商業運航は2023年に開始されたが、これまでに約200機が引き渡されて各地の航空会社で運航されている。特にラオスやインドネシア、ベトナムなどアジア地域のキャリアがこの機体を導入し、新興市場を中心に一定の存在感が出てきた。COMACはC919のほか、地域旅客機としてのC909(旧ARJ21)も運航実績がある。

COMACが現在直面している最大の課題は国際的な型式証明の取得である。C919はすでに中国国内の型式証明を得て商業運航されているが、欧州や米国といった主要航空市場で販売・運航を行うには、それぞれの規制当局による認証が不可欠だ。特に欧州航空安全機関(EASA)の型式証明取得は2028〜31年ごろになる可能性があると見られており、これが国際市場進出の鍵となる。

シンガポール航空ショーではCOMACが自社機のモデルやコックピットの展示を行い、航空各社に対してアピールを行った。国際航空運送協会(IATA)はCOMACが将来的にグローバルな競争相手となる可能性を指摘しつつも、「時間がかかるだろう」との見方を示している。また、アジア太平洋地域の航空会社はボーイングやエアバスの納入遅延や供給網の制約に直面しており、代替の供給源としての需要が高まっているとの分析もある。

とはいえ、COMACが直面するハードルは依然として高い。欧州や米国での認証取得の難しさに加え、世界の航空会社がボーイングとエアバスの長年の実績と広範なサポートネットワークを評価しているため、信頼性とメンテナンス体制の構築も重要な課題となる。実際、ボーイングとエアバスは世界中で数万機規模のフリートを支える部品供給とサービス網を築いており、新規参入者がこれを短期間で追い越すのはほぼ不可能である。

中国政府としては、航空機産業の育成はハイテク製造業の象徴的な挑戦で、C919や今後の機種が国際市場で浸透すれば、中国製航空機の存在感は格段に高まる見込みだ。COMACはシンガポール航空ショーを通じて積極的にブランドを発信し、アジア太平洋地域を皮切りに欧米市場への足掛かりを模索している。今後の認証取得や受注動向が、ボーイングとエアバスが長年占めてきた市場構造にどのような変化をもたらすかが注目される。

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