インドの寄付文化、慈善活動の原動力に、年間1兆円規模
この調査結果はインドにおける「日常の寛大さ」が経済的豊かさとは別の文化的価値として社会に根付いていることを示すと同時に、非営利部門や社会福祉団体にとっては安定した支援の基盤が形成されている可能性も指摘している。
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インドでは億万長者や大企業の社会貢献に注目が集まりがちだが、最新の調査で一般の家庭から日常的に寄せられる寄付金が年間で数十億ドル規模に達し、国内の慈善活動の重要な原動力となっていることが明らかになった。
英BBCによると、インドの世帯による寄付総額は現地通貨で約5400億ルピー(約9220億円)に上ると推定される。この額には現金の寄付だけでなく、物品の提供やボランティア活動も含まれ、多くの家庭が日常的に社会的支援に関わっていることが示されている。
BBCの調査は全国20州で7000世帯以上に対して行われ、回答者の68%が何らかの形で寄付や支援を行っていると答えた。寄付の形態をみると、現金の寄付は全体の44%、衣食料などの物品提供が48%、ボランティア活動が30%を占めている。こうした寄付や活動は宗教施設や地域のコミュニティグループ、非営利団体などに向けられているほか、炊き出しなどの地域支援活動にも広く関与しているという。
寄付金の使途や対象を見ると、宗教団体や寺院への寄付が最も多く、世帯寄付の約45%を占めると報告されている。また、都市部では物乞いの人々や困窮者に直接手を差し伸べる形での支援も多く報告され、これは回答者の約42%に相当するという分析結果もある。これに対し、非宗教的な非営利団体に向けられる寄付は比較的少なく、全体の15%に留まっている。
調査を主導したアショカ大学の研究者は、インドの寄付文化が特定の富裕層や組織に依存するものではなく、一般市民の日常生活の中に深く根付いていることを強調する。信仰や地域社会との関わりが寄付行動を促す主要な動機となっており、回答者の多数が「宗教的義務感」や「日常生活の中の助け合い」が寄付を促す背景にあると述べている。
インドでは社会的責任(CSR)規定により企業が一定額を社会貢献に充てることが義務付けられているが、今回の報告ではこうした企業側の寄付規模を世帯ベースの寄付が大きく上回るとしている。企業がCSRとして年間約2800億ルピーを寄付しているのに対し、一般家庭からの寄付はそれを大きく上回る規模であるとされる。
また、寄付行動は所得に関係なく幅広い世帯で行われ、低所得層でも約半数が何らかの寄付を行っている点が特徴だ。所得が高まると寄付への参加率や金額も増加する傾向が見られ、教育水準が高い人々ほど寄付やボランティア活動への参加が多いとの分析もある。
この調査結果はインドにおける「日常の寛大さ」が経済的豊かさとは別の文化的価値として社会に根付いていることを示すと同時に、非営利部門や社会福祉団体にとっては安定した支援の基盤が形成されている可能性も指摘している。今後もこうした草の根の寄付活動が国内の社会課題への対応にどのように寄与していくかが注目される。
