SHARE:

タイ軍「自衛権の行使に踏み切る可能性ある」カンボジアをけん制

両国は先月、国境沿いで5日間に渡って衝突。空爆・砲撃の応酬となり、30人以上が死亡、26万人以上が避難を余儀なくされた。
タイとカンボジアの国境付近、タイ陸軍の兵士たち(Getty Images)

タイ軍は12日、カンボジア国境沿いの係争地周辺で地雷が爆発する事件が相次いでいることを受け、自衛権の行使を余儀なくされる可能性があると警告した。

陸軍の報道官によると、12日朝、7人の兵士と共に国境をパトロールしていた軍曹がカンボジア側が秘密裏に埋設した対人地雷を踏み、左足首に重傷を負ったという。

別の係争地では9日、タイ軍の曹長が左足を失う重傷を、別の兵士2人が軽傷を負った。

タイ軍は9日の声明で、カンボジア軍が地雷を敷設したと主張。「カンボジアは国境地域で依然として武器を使用し、オタワ条約に明白に違反していることを示している」と述べた。

オタワ条約(対人地雷禁止条約)は1997年署名、1999年に発効した。米国、ロシア、中国、インド、パキスタン、韓国など、現在および過去に地雷を製造・使用した国々が未加盟である。カンボジアとタイは加盟している。

両国は先月、国境沿いで5日間に渡って衝突。空爆・砲撃の応酬となり、30人以上が死亡、26万人以上が避難を余儀なくされた。

両国はその後、マレーシアなどの仲介で無条件の停戦で合意。7月29日に発効した。

一連の地雷爆発とタイ側の反応は停戦合意が脆弱であることを示している。

タイ軍によると、カンボジア国境で地雷による負傷者が出たのは過去1カ月で4回目。停戦発効以降では2回目である。

事件はいずれも、タイが自国の領土と主張するスリン県の寺院から1キロメートルの範囲内で発生している。

この地域は激しい戦闘の舞台となった場所で、両国が自国領土と主張する国境沿いの複数の地域の一つである。

カンボジア側は地雷を敷設したというタイ側の主張を否定。「カンボジアはオタワ条約の締約国であり、この無差別兵器を敷設ではなく撤去したという国際的に認められた記録がある」と指摘している。

カンボジアでは1998年に終結した内戦の間、400万~600万個の地雷や不発弾が全国に敷設・散乱したと推定されている。

カンボジアのメディアによると、内戦終結以来、2万人近くが地雷や不発弾の爆発により死亡、約4万5000人が負傷したという。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします