タイが大麻規制強化、医療用以外での販売禁じる

タイは2022年、アジアで初めて大麻を合法化した。
2025年6月26日/タイ、首都バンコクの大麻販売店(AP通信)

タイ当局が26日、処方箋なしでの大麻販売を禁じる措置を開始した。

保健相は23日、処方箋を持たない市民への大麻の販売を禁止する命令に署名。これには大麻の花を規制対象の「ハーブ」として再分類する措置も盛り込まれている。

この命令は26日に施行された。販売店は処方箋を持っていない顧客に医療用大麻を販売した場合、1年以下の懲役と罰金刑に処される可能性がある。

タイは2022年、アジアで初めて大麻を合法化した。

大麻はタイの観光産業や農業に活気を与え、何万もの大麻店を生み出したが、規制が不十分なため、子供が大麻を使用したり、犯罪を助長するようになった。

大麻に関する規制の執行を監督する機関は7日、全国の関係者とオンライン会議を開催し、ガイドラインについて協議した。

同機関は声明で、「現在ライセンスを取得している店舗は営業を継続できるが、その製品は当局が認定した医薬品グレードの農場からのみ調達し、毎月製品の出所を当局に報告しなければならない」と説明した。

この農場も大麻の販売ライセンスを取得する必要がある。命令では「店舗は処方箋を持つ顧客に対し、30日分の個人使用分に相当する量の医療用大麻のみ販売できる」と定めている。

ペートンタン政権は大麻の非合法化を公約に掲げているものの、連立パートナーであった「タイの誇り党」からの強い抵抗に直面していた。

大麻の合法化を主導したタイの誇り党は先週、ペートンタン政権から離脱した。

保健省の報道官は26日の声明で、「命令に違反した店舗は営業を禁じられ、刑事罰に直面する」と警告。現在、大麻の販売を許可されている店舗は全国に約1万8000軒あると明らかにした。

当局は「明確なガイドラインを策定する」としているが、時期は明言していない。

地元メディアによると、現在の規制は不十分で、多くの店舗が娯楽目的で大麻を販売し、利益を上げているという。

ミャンマーやラオスの国境付近では大麻だけでなく、コカインやメタンフェタミンを扱っている店舗も存在するようだ。

国連薬物犯罪事務所(UNODC)は先月末、東南アジアにおけるメタンフェタミンを含む違法薬物の取引が急拡大し、押収量が過去最高水準に達する見通しであると明らかにした。

タイでは昨年、約10億錠のメタンフェタミン錠剤が押収された。

UNODCによると、メタンフェタミンの多くがゴールデントライアングルから世界中に密輸されている。

ゴールデントライアングルはタイ、ミャンマー、ラオスの国境地帯の通称で、違法薬物の製造・取引の拠点になっている。

ゴールデントライアングルの政情は不安定で、ミャンマーの政変と内戦が麻薬の生産・密売増に拍車をかけているとみられる。

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