◎帰国便はキャンセルされ、VISAやマスターカードも利用できなくなった。
ロシア・ウクライナ戦争の影響で数千人のロシア人観光客がタイのビーチリゾートに取り残され、その多くが帰国便を確保できず、制裁の影響でホテル代の支払いに苦労している。
タイ観光局の広報担当であるユタサック氏は11日、AP通信の取材に対し、「プーケット、スラタニ、クラビ、パタヤなどのリゾート地で、少なくとも1,000人のウクライナ人と6,500人のロシア人観光客が立ち往生している」と語った。
政府のウェブサイトによると、2月の外国人入国者203,970人のうちロシア人は17,599人で、全体の8.6%を占めたという。しかし、2月24日のウクライナ侵攻以来、その数は激減した。
ユタサック氏は、「多くのロシア人観光客が帰国便のキャンセルと、対ロシア制裁によりクレジットカードが利用できなくなった影響で立ち往生している」と説明した。
西側諸国はロシア便の運航を停止しているが、中東に拠点を置く一部の航空会社を利用すれば帰国できないこともない。ベラルーシも運航を継続している。
またユタサック氏によると、多くのロシア人観光客がホテルの精算にひどく苦労しているという。
プーケットから脱出できずにいるロシア人を支援している通訳の女性はAP通信に、「彼らはVISAやマスターカードで精算する予定だった」と語った。「中国の金融サービス会社が発行する銀聯クレジットカードを持っている人は大丈夫でしたが、それ以外のカードはほぼ全滅です...」
タイ政府は暗号通貨による支払いも認めていない。
タイ政府はホテル代を精算できずに立ち往生している人々のビザを30日間延長し、長期滞在を余儀なくされた人々のために低コストの代替宿泊施設を確保しようとしている。
タイの経済は観光に大きく依存しており、当局は今年の後半にコロナウイルス関連の検疫や検査に関する規制の大半を撤廃する見通しで、これにより外国人観光客の入国が容易になると予想されている。
バンコクポスト紙は12日の社説で、「政府は今年の観光客数や観光収入予測を下げざるを得ないだろう」と報じた。燃料価格の高騰とインフレはあらゆる業界に影響を与える。
ユタサック氏は「観光産業はマイナス要因に阻まれたとしても、タイ経済を活性化させるうえで欠かせない」と述べ、コロナ対策のさらなる緩和に期待を表明した。
タイ政府は2022年の外国および国内観光収入を1.28兆バーツ(約4.5兆円)と予測している。