タイ政府が外交推進、カンボジア前首相の「異例の口撃」受け
ぺートンタン氏はフン・セン氏との電話会談の音声が流出した後、大きな圧力にさらされている。
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タイ外務省は27日、隣国カンボジアとの緊張が高まる中、外交の重要性を強調した。
カンボジアの影の支配者であるフン・セン(Hun Sen)上院議員は同日、3時間を超えるテレビ演説で、タイ国境の係争地をめぐる問題に言及。ペートンタン氏を激しく非難した。
タイ外務省は声明で、フン・セン氏の前例のない「口撃」に驚愕したと表明。外交でこの問題を解決すると誓った。
40年近くカンボジアを統治してきたフン・セン氏は厳格な越境制限と複数の経済制裁が課せられている中、26日にタイ国境を訪問した。
フン・セン氏は演説の中で、ペートンタン氏の父であり、最近まで盟友であった億万長者のタクシン(Thaksin Shinawatra)元首相も罵倒した。
タイ外務省の報道官はロイター通信の取材に対し、「フン・セン上院議員の演説に驚愕し、外交上の規範から見ても極めて異例だ」と語った。
また報道官は「タイ政府は多くの扉を開いてきた。今朝の演説後も、この扉を閉ざさないと約束する」と述べた。
上院議長を務めるフン・セン氏はぺートンタン氏が自身とその息子であるフン・マネット(Hun Manet)首相を見下していると主張した。
ぺートンタン氏はフン・セン氏との電話会談の音声が流出した後、大きな圧力にさらされている。
ペートンタン氏も26日にカンボジア国境を視察したが、フン・セン氏とは会わなかった。
両国の関係は5月28日に国境沿いの係争地で銃撃戦が勃発して以来、緊張している。
カンボジア軍は5月28日にタイ国境沿いでパトロールを実施していたところ、タイ側が銃撃したと主張。タイ軍はカンボジア兵が国境沿いの係争地に侵入したため、威嚇射撃を行い、カンボジア兵が反撃したため応戦したと説明している。
この衝突は約10分間続き、カンボジア兵1人が死亡。現地の指揮官が互いに連絡を取り合い攻撃をやめるよう部隊に命じた。
ペートンタン氏は先週、地元メディアがリークした電話会談で、フン・セン氏に対し、「国内で圧力に直面している」と述べ、カンボジアとの国境地帯でタイ軍を監督する将校を含めた「反対派」の意見に耳を傾けないよう求めた。
野党はペートンタン氏がフン・セン氏に国内情勢について相談し、軍幹部を軽視したことを非難している。
カンボジア政府もペートンタン氏がフン・マネット氏ではなく、父親のフン・セン氏とこの問題について協議したことに不満を表明した。
両国は緊張を緩和することで合意したものの、国境に増援部隊を展開したり、交易を制限するなどの措置を講じている。
両国は1907年にカンボジアがフランスの植民地だった時代に策定された国境をめぐり、1世紀以上にわたって争ってきた。