タイとカンボジアの国境で軍事衝突、12人死亡、空爆も
両国の関係は5月28日に国境沿いの係争地で銃撃戦が勃発して以来、緊張していた。
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タイとカンボジアの部隊が24日、国境沿いの複数の地域で衝突し、少なくとも12人が死亡した。
タイ当局によると、死傷者の大半が民間人。両軍は小火器、迫撃砲、ロケット弾を使用し、タイ軍は戦闘機でカンボジアの軍事施設を空爆したとしている。
タイ国防省の報道官は声明で、「カンボジア国境沿いの少なくとも6つの地域で戦闘が勃発した」と述べた。
それによると、衝突のきっかけは23日に国境沿いで発生した地雷の爆発で兵士5人が負傷したことだという。
タイ外務省は駐カンボジア大使を召還・追放した。
カンボジアはタイ側が先に攻撃を仕掛けてきたと主張している。
戦地の状況はほとんど明らかになっておらず、国境沿いで戦闘が続いているものとみられる。
両国の関係は5月28日に国境沿いの係争地で銃撃戦が勃発して以来、緊張していた。
カンボジア軍は5月28日にタイ国境沿いでパトロールを実施していたところ、タイ側が銃撃したと主張。タイ軍はカンボジア兵が国境沿いの係争地に侵入したため、威嚇射撃を行い、カンボジア兵が反撃したため応戦したと説明している。
この衝突は約10分間続き、カンボジア兵1人が死亡。現地の指揮官が互いに連絡を取り合い攻撃をやめるよう部隊に命じた。
タイは以前にもカンボジアと国境問題で対立し、西隣のミャンマーとも小規模な衝突を繰り返してきた。
両国は24日、互いを非難し、民間人が標的になっていると主張した。
タイ保健省は声明で、「カンボジア側との戦闘により、兵士1人と8~15歳の子供を含む民間人11人が死亡し、20人以上が負傷した」と述べた。
また同省はカンボジア側が国際人道法とジュネーブ条約に違反したと非難した。
さらに、「タイ政府はカンボジアに対し、これらの戦争犯罪行為を直ちに停止し、平和共存の原則を尊重するよう強く求める」とした。
カンボジア政府はタイ側が攻撃を仕掛けてきたため応戦したと主張。「カンボジアが武力を行使したのはタイの脅威から領土を守る以外に選択肢がないためだ」と述べた。
またカンボジア政府は「自衛が最優先事項であり、相手の軍事施設を標的にしている」と主張した。
カンボジアのフン・マネット(Hun Manet)首相は国連安全保障理事会に書簡を送り、「タイの侵略を止めるため」緊急会合の開催を求めた。
カンボジア側の死傷者の情報はない。
報道によると、会合は25日に行われる可能性があるという。
タイは自国民にカンボジアからの出国を促し、カンボジアの陸路国境検問所を封鎖した。
タイとカンボジアは1907年にカンボジアがフランスの植民地だった時代に策定された国境をめぐり、1世紀以上にわたって争ってきた。