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タイ、停戦合意に基づきカンボジア兵士18人を解放

両政府によると、この兵士たちは25年7月の国境衝突で捕えられ、約150日間タイ側で拘束されていたが、停戦が72時間以上維持されたことを受けて12月31日に解放された。
2025年12月31日/カンボジア、タイから帰国した兵士(ロイター通信)

タイとカンボジアは2025年末、国境紛争を終結させる停戦で合意。その一環として、タイ側が拘束していたカンボジア兵18人を解放した。両政府によると、この兵士たちは25年7月の国境衝突で捕えられ、約150日間タイ側で拘束されていたが、停戦が72時間以上維持されたことを受けて12月31日に解放された。

停戦協定は12月27日に調印され、27日正午に発効。72時間維持されれば捕虜を解放するとしていた。兵士たちは12月31日の午前10時ごろ、タイ側の国境検問所でカンボジア側に引き渡され、その後それぞれの家族と再会した。

この解放は両国間の武力衝突が激化した数週間を経ての重要な前進となる。12月初旬からの戦闘では100人余りが死亡し、双方合わせて50万人以上の住民が避難を強いられた。砲撃やロケット弾の撃ち合い、戦闘機による空爆が行われるなど、激しい戦闘が続いていたが、停戦合意により一時的に緊張が緩和された。

カンボジア国防省の報道官は、兵士たちが無事帰国したことを確認。「英雄たちが帰還した」と述べた。また、タイ外務省はこの解放が「信頼醸成と善意の表れであり、人道的原則に従ったものだ」と説明した。解放のプロセスには国際赤十字委員会(ICRC)も関与し、監視を行った。

両国はこの停戦協定で戦闘停止のほか、軍隊の増援を行わないことや地雷除去協力、民間人の帰還支援などを盛り込んでいる。停戦の維持と信頼構築は依然として脆弱だが、今回の兵士解放は和平への道筋形成に向けた象徴的な一歩とみられている。

タイ側は当初、停戦合意後にカンボジアのドローン活動を理由に解放を一時延期すると発表するなど、条件履行に対する慎重な姿勢も見せていたが、最終的に解放に踏み切った。これについて両国は異なる見解を示したものの、合意が履行された形となった。

専門家は、今回の兵士解放が両国関係の改善に向けた重要な進展であると評価する一方、根深い領土問題や歴史的な対立が残る限り、停戦は不安定なままであるとの見方を示している。両国は国境線の画定を巡る争いを抱え、今回の合意が恒久的な平和につながるかどうかは今後の協議にかかっている。

今回の兵士解放はタイとカンボジアが戦闘停止と交渉の継続に向けて歩み寄った重要な出来事として位置づけられているが、地域の安定に向けた課題は依然として残されている。今後の交渉と停戦履行が継続されるかどうかが注目される。

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